「気づき」を促す質問をする

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コーチングの重要な機能の一つは、相手の「気づき」を促すことです。「気づき」とは、他人から教えらたり指摘されることなく、自ら心で感じ、物事に対して今までとは異なる理解や認識を持つようになることだと定義づけられるでしょう。

「気づき」を促す質問をする

相手の「気づき」を促すことは、コーチングの醍醐味です。適切な質問がそれを実現するのですが、それは決して難しいことではありません。物事に対する認識の「歪み」や「欠如」の存在を確認すれば、自然と「気づき」につながるのです。


コーチングの重要な機能の一つは、相手の「気づき」を促すことです。「気づき」とは、他人から教えらたり指摘されることなく、自ら心で感じ、物事に対して今までとは異なる理解や認識を持つようになることだと定義づけられるでしょう。


「他人から」ではなく、「自ら」というのがポイントであり、自発性を引き出していくコーチングが威力を発揮する分野です。では、人は何によって「気づき」を得るのでしょうか。


それを考える前に、何が「気づき」を妨げているのかを知る必要があります。「気づき」を妨げる大きな要因は、「思い込み」や「先入観」、あるいは「考え不足(考えたことがない)」といったものであり、物事に対する認識の「歪み」や「欠如」であるのです。


コーチングの質問は、その「歪み」等の存在を「自ら」知る機会を与え、結果としてそれが「気づき」、すなわち「物事に対しての今までとは異なる理解や認識」へとつながるのです。


「思い込み」や「先入観」という認識の「歪み」は、コーチからのハッとさせられる質問により、正していくことができます。これは、前回で解説した「現状把握」の一環でもあります。


具体的には、次のような質問が典型的なものです。


●「今、どこまで出来ていますか?」


何が出来ていて、何が出来ていないのかを正しく把握することは、物事に対する正しい認識を持つための出発点です。この質問をする際は、相手を責める姿勢を示さず、相手が何を言っても受け止めるという態度で臨む必要があります。


どこまで出来ているかを感覚的に把握したければ、「現在の進捗度は、何%くらいですか?」と尋ねてもよいでしょう。


たとえば自分の仕事ぶりに自信を持っていない部下の場合、全く出来ていないといった極端な認識を持っていることも、しばしばあります。そのような回答が返って来た場合、さらに「既にやったことは何ですか?」と尋ねるとよいでしょう。


あるいは上司として、部分的であっても、部下が成し遂げたことは何かを挙げてみて、確認することです。「出来ていないこと」ではなく、「出来ていること」に焦点を当てることで、誤った認識は正されます。


あるいは、目先の作業に没頭し過ぎるがゆえに仕事の進捗度への意識が低く、質問されて初めて進捗度について考えてみる部下もいるかも知れません。「考え不足」を正すのに、この質問は効果的です。


また当然、自分は何でも出来ていると考える自信過剰な部下もいます。この場合、まずは「出来ていること」に焦点を当てて確認した後に、それとは逆に、まだ「出来ていないこと」についても考えさせるようにします。過不足なく現状を理解・認識することを促すわけなのです。


●「このまま行くと、どうなりますか?」


これは、意外と奥の深い質問です。何かの単純な準備作業の状況についての質問としても使えますし、企業の将来戦略を問いかける際にも使えます。目先のことに追われている時などは、この質問を投げかけられてドキリするといったケースもあり得ます。


将来を尋ねる質問ではありますが、これもまた「現状把握」の質問です。なぜなら、将来を決めるのは、まさに「現状」のあり方だからです。


もっと極端な質問となると、「もしそれをしなければ、どうなりますか?」というものもあります。危機感や仕事の必然性を確認させる意味もありますが、逆に、何もしなくても全く問題はないことに気づいたりします。


さらに言えば、「もしそれが失敗したら、どうなりますか?」という質問もあります。失敗を必要以上に怖れ、前向きな気持ちを持てない部下に「気づき」を与える、非常に効果的な質問になり得ます。


●「周囲からどのようなサポートを得ることができますか?」


責任感を持って仕事をするのは非常に重要なことです。しかし、何でも独力で出来るものでもありません。責任感の強い部下ほど、周囲からサポートを得ることなどは、考えの対象外であったりもしますので、「その手もあったか」と、「気づき」を促すことにつながります。


本人が持つリソース(資源)だけではなく、外部のリソースを活用する視点を持つことは、コーチングセッションにおいては欠かせません。パフォーマンスを向上することがコーチングの目的であり、そのために使えるリソースは、何でも活用するのです。


認識の「歪み」や「欠如」は、人が能力を発揮し、成果を上げていく際の阻害要因となります。しかし今回、例として挙げた質問を使ってみることで、修正していくことが可能です。まずは部下に対して、それら使ってみて下さい。

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