コーチングの基本スキル-質問する

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コーチングにおける「質問」は、日常生活や仕事で頻繁に行なわれる「質問」とは、やや意味合いが異なることに注意した方がよいでしょう。通常の「質問」は、自らが欲しい情報を得たり、疑問を解決するために行なうためのものです。つまり、質問者のための質問なのです。

コーチングの基本スキル-質問する

コーチングにおける「質問する」のスキルは、仕事や日常生活で頻繁に行なわれる「質問」とは、やや異なるものです。コーチングの精神に則った質問は、相手の中にあるものを引き出し、意欲を高めていくのにも効果的です。


「認める」「聴く」に続くコーチングの基本スキルは「質問する」です。「認める」と「聴く」のスキルは、相手に安心して話させるためのものであり、それにより相手の中のものを引き出していく効果があります。


「質問する」スキルは、それらをさらに一歩進め、より多くのものを引き出すことを目指します。したがって、「認める」「聴く」の延長にあるものと考えるとよいでしょう。


コーチからの質問の投げかけを受けると、クライアントは自分の頭で考え、自ら答えを生み出していこうとすることになります。質問に答えるためには、まず自分で考えなくてはならず、考えるプロセスで頭の中が整理されていきます。これがコーチングの効果です。


効果的な質問は、相手の頭の中の漠然としていた考えをより具体的なものにしていくことに役立ち、視点を変えて新たな可能性を見出すことを助けます。また、質問によりゴール達成のための具体的手順を明らかにしていくため、行動を促すことにもつながります。


コーチングにおける「質問」は、日常生活や仕事で頻繁に行なわれる「質問」とは、やや意味合いが異なることに注意した方がよいでしょう。通常の「質問」は、自らが欲しい情報を得たり、疑問を解決するために行なうためのものです。つまり、質問者のための質問なのです。


しかしコーチングにおいては、質問はクライアント、すなわち質問される相手のために行なうのです。相手の頭の中にあるものを整理したり、具体化したり、新たな視点を持てるように助けることが目的なのです。


具体的には、例えば次のような質問が、コーチングにはふさわしいでしょう。


「理想の状態を100点だとすれば、今は何点だと思いますか?」
「どのような状態になれば、その問題が解決したと言えますか?」
「そのような状態を実現するために、まずすべきことは何ですか?」
「もし、今の自分にアドバイスをするとしたら、どのようなことを言ってあげたいですか?」


このような「質問」を行なうためには、相手の話をよく「聴く」ことが大前提となります。コーチングにおいて的確な「質問」は、相手と同じ気持ちを共有し、同じ視点に立つことから生まれてくるからです。


企業の中、特に上司・部下間でのやりとりでも、「質問」は頻繁に使われていることでしょう。しかし、「質問」をすれば、イコールそれがコーチングだということにはなりません。


上司から部下に質問をした場合に、よくある問題は、部下が答えを言う前に、上司がそれを言ってしまうことです。質問を投げかけたら、決して先回りして答えを言うようなことがあってはなりません。部下に自分で考えることを放棄させてしまうことになるからです。


考えをまとめて答えるには、相応の時間が必要です。ましてや、上司と比べて知識・経験に乏しいのです。上司としては、じっくと答えが出てくるのを待つ必要があります。


また、質問が「詰問」にならないように注意をすることも必要です。質問の仕方によっては、相手に大きな圧迫感を与えてしまうことになります。特に「なぜ」「どうして」という疑問詞を使う際は、要注意です。それらの単語には、出来なかったことを責める意味合いが非常に強いからです。


責められると人は防御的になり、話をしようとする意欲を失います。相手にたくさん話させることにより、相手の中のものを引き出していくことを目指すコーチングのあり方とは、正反対のものとなってしまうのです。


質問が「誘導尋問」にならないようにすることも、上司として十分に注意すべき点だと言えます。コーチングは、相手の自発的行動を促すコミュニケーションスキルです。上司に「言わされてしまった」というのでは、意味がありません。強制でも誘導でもなく、自ら本心で語ることができていなければ、それはコーチングではありません。


「質問する」こと自体は、仕事の中で、特に部下に対して頻繁に行なっていることだと思います。しかし多くの場合、その目的は上司・管理者・経営者として状況把握することであって、すなわち自分のための質問となっているのではないでしょうか。


前回までで学んだ「認める」「聴く」のスキルを十分に使いこなしながら、それらの延長として、部下からその中にあるものを引き出すという観点で「質問する」ことを、早速実践してみることをお奨めします。


上司の質問の仕方次第で、部下の仕事ぶりは大きく変わってくることを念頭に置いて下さい。次回は、「質問する」の具体的なテクニックについて解説します。

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  • 【2】なぜコーチングが機能するのか
  • 【3】コーチングの「よくある誤解」

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  • 【1】スキルが狙う効果とは
  • 【2】質問で引き出す
  • 【3】スキルよりも大切なもの

第3回  セッションはこうやって組み立てる!

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  • 【2】セッションを組み立てる3つのモード
  • 【3】ラポールの築き方

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