Coach Interview - 佐藤 慶子コーチ(前編)

 今回ご紹介するのは、銀座コーチングスクール富山校を卒業し、現在、富山を中心にプロコーチとして活躍している佐藤慶子さん。かつては、小学校教員、営業職、事務職などを経験してきたそうです。人間関係の悩み、転居、事業所の閉鎖等により、転職を重ねながらも、人の人生に深く関われる仕事をしたいと考えて、探し続けてきたそうです。そして、職場での人間関係の悩みの解決方法を模索する中で、コーチングに出会いました。人間関係を解決するための答えは、自分の中にあるというこ とに衝撃を受け、富山校の中村慎一代表の元でコーチングを学び始めたそうです。2012年に独立。現在は「若 手専門コーチ」と名乗り企業でのコーチング、研修などを行っています。今回は、師匠である中村さんが佐藤さん にインタビュー。まずはコーチングに出会ったきっかけからお伺いしました。(聞き手:中村 慎一コーチ/※当記事は、アンテレクト通信 Vol.148(2016年秋号)に掲載されたものです。)

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職場の人間関係の悩みでコーチングを学ぶ

ーー コーチングを学ぶきっかけは何だったのでしょうか?

 職場の人間関係の悩みでした。そもそも自分が人間関係で悩みやすいなということと、トゲトゲした雰囲気の会社での経験が多いことから、このままでいいのかなと思っていて。諸先輩からは、辛くても歯を食いしばって働くのが職場なのだということを言われてきましたが、もう少し安心感のあるホッとする場所の方が、人は力を出せるのではないだろうかと思っていました。インターネットでいろいろ調べていたところ、その中でコーチングを見つけました。以前、私にコーチングを勧めてくださる方がいらっしゃったのですが、その方のことも思い出して受けてみることにしたのです。家から近い場所で開催されていた銀座コーチングスクールで、体験講座に出席して考えてみようということで行きました。

ーー 体験講座に参加された印象はどうでしたか?

 その時は、たまたま参加者が私だけで、中村先生と二人だったのでちょっときまずい感じがしました。ところが、体験講座を終えた時は、なんだかすごく光が見えた感じがしました。インターネットで色々調べていた時に、たまたま読んだ本の著者への無料メール相談があることを知り、メールをしたことがありました。それでも変わらずモヤモヤしていたにもかかわらず、コーチングを受けた後は何かすごく光が見えて久しぶりに前向きな自分に戻っていましたね。

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ーー コーチングのどういうところが、そうさせたんだと思いますか?

 あの時に中村先生にちょっとした体験コーチングをしていただいて、「佐藤さんは、どうしたいんですか? どうなりたいのですか?」と聞かれた時に、下を向いていた目線が、ぐっと45度、上に向いた感じがありました。コーチングを学んだ今から思えば、良く使う質問だと思うんですけれども、あの時の自分にはとても衝撃的な質問でした。そこで、改めて色々問題を解決した後に、会社を卒業したいと思っていることにその時に改めて気がつきました。先生のセッションを受けて、自分でも気づかなかった 本当の思いを自覚することができ、すごく新鮮で一気に元気が戻ったような気がしました。

ーー そこからクラスA受講を決めて学ばれましたよね。

 受講料は、当時の私には勇気のいるものでした。その時にはプロコーチになるという気持ちもありませんでした。でも体験講座で私がこのすっきり感を得られたのは確かで、これを学べば変われると思う自分のために学び始めました。

ーー どのあたりからプロを意識したのでしょうか?

 クラスAの時にはすでに、こういうことを仕事にできたらいいのにという気持ちがありました。会社に勤め、お給料がある中で、楽しみながらやっていたのですが、二足のわらじでスタート3カ月目くらいですかね。昼は仕事で夜はコーチングという生活をしていたのですが、おかげさまで夜と週末も少しずつ忙しくなってきました。そこで、自分が一番力を発揮できる昼の時間に会社に行くということが、もったいなく思えてきました。このまま会社勤めを続けていたら、コーチングはできないなと思うようになりました。

コーチングのことを周囲に伝えることが大事

ーー 夜と週末が忙しくなったというのは、コーチングのクライアントが増えていったからということなのでしょうか?

 はい。最初のクライアントは知り合いの方でした。コーチングを学んでいた時代に、いろんな方にコーチングがいいと伝えていたので、「プロになったら最初のお客さんになってあげる」と声を掛けてもらえたというのもプラスになりました。その他に先輩のご紹介もありましたし、クライアントからのご紹介もありました。職場でもコーチングを学んでいるということは言っていて、同僚にお願いしてセッションの練習相手になってもらったというのも大きいかもしれません。

ーー コーチングを学んでいるということをあちこちで言っていたということですか?

 会社の朝礼の中で、社員が順番にスピーチをする時間がありましたので、私の番が回ってきたときには、コーチングのことをお話しするようにしていました。やってみたらこうでしたといった、皆さんに役立つかなという体験を伝えていました。なので、いつも私の番がくると、話の内容はコーチングでしたね。

ーー 頻繁にコーチングの話をしていたのですか?

 同僚と一緒に車に乗るときに「練習していい?」と言って練習することもありました(笑)。そういうことをしていたので、自分がコーチングをしていることを職場のみんなが知っていました。

ーー コーチングをやっていると伝えたことに対する周囲の反応は、いかがでしたか?

 実際にセッションを体験された方はすごく喜んでくれたんですけれども、なかには、「コーチングで生活できると思うか?」とか、「そんな市場が富山県にあると思うか?」と心配して言ってくださった方もいらっしゃいました。そのおかげで、逆に自分に火がつきました(笑)。コーチングだけでは食べていけないから他に何かやらなければいけないということを言ってくださった方もいましたが、結果を出して見返したいという気持ちが私の中に芽生えました。

ーー 最初は、知り合いの方から始め、そこからさらにクライアントを広めていくために、どのようなことをされたのですか?

 独立してからは、毎月1〜2回セミナーをしていました。「明日会社に行きたくない」と思っている若い人に、元気に会社に行ってもらおうと20〜30代限定という若手向けセミナーをフロントエンドセミナーとしてやっていました。思いがけず、すぐご契約に繋がったこともありましたし、そこに何回か来られているお客様がご契約される方もいらっしゃいました。セミナーに来ること自体が楽しいのだなと勝手に思っていた方でしたが、契約をしてくださいました。

ーー セミナーの集客はどうされていましたか?

 IT関係は非常に弱めの私なのですが、やっとの思いでFacebookのイベントページを作り、友達にランチ代価格でチラシを作ってもらって、それを配ったり、セミナールームに置かせていただいたりしました。セミナーの参加者は、多いときで7人くらい、少ない時で1〜2人参加してくださいました。1〜2人だと主催者としては嫌になってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、私はより親密にコーチングを伝えられると思ってまったく気にしていませんでした。もちろん、ゼロという時もありましたが、1年近く続けてやっていました。その後、タイトルを「ミッションステートメント作成準備セミナー」と変え、回数も月1回に しました。

ーー そこからお客様に繋がった人も多かったんですか?

 そうですね。友達を連れてきてくれた方もいらっしゃったと思います。あとは異業種交流会に参加をして、人前で話す練習も兼ねて、前に出て話すようにしていましたね。車を運転しながら1分で自己紹介する練習をして、参加していました。これは、意外とすごくいい練習になりました。1分で話すという時間の感覚が身につき、短い時間で人に聞いてもらうにはどうすればいいのかということを考える練習になりました。

ーー どうやってクライアントに伝えたらいいのかわからないと悩んでいる人が多い中で、悩んで行動しないよりは、とりあえずやってみて、しぶとく続けているということがすごく大きいのかなと思います。

 自分の中にこれでいけるというノウハウ的なものがなく、専門の資格もないので、中村先生が教えてくださったスモールビジネスのマーケティングだけで続けてきました。

ーー 当たり前にお客様を集めるには、またそのお客様に商品の良さを伝える方法は何かというと、まずは接点を作って、信頼関係を作るというものですね。

 先生から教わった中で私が気に入っている部分は接触回数を増やすという部分です。私は、一回お会いしただけで自分自身を理解してもらうことはできないと思っていますし、実際に度々顔を合わせてお話をする中でパイプが太くなっていくという感覚があります。これが中村先生に教えていただいた中でも注目している部分で、二度手間になってしまうようなことが起こった時も、「接触回数が増やせるんだ」と思うことで前向きに仕事ができるようになりました。

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企業コーチングに活躍のフィールドを広げる

ーー そうやってセッションしているクライアントはどんな風に変わりましたか?

 最近は企業向けのコーチングが中心なのですが、お客様の会社内でのコミュニケーションが増えたり、社長と社員さん、そして、社員さん同士、気持ちが通じ合うようになったりしてきたのかなと思います。社長と社員さんの距離が近づいて、それまでは伝わっていなかった大事な思いがスッと伝わるようになったり、社長の思いに社員さんが呼応して、お互いの思いを伝え合えるようになったりしています。社員さん同士が励まし合うことで部下が成長できるようになるなど、雰囲気も変わってきたと思いま す。

ーー 佐藤さんは現在コーチとして企業に入っているわけですけれども、最初は知り合いの方へのパーソナルコーチングをメインにしていたところから、企業に入るようになっていったんですよね。そこに移っていくきっかけは、何でしたか?

 以前お世話になった方から、企業研修のご依頼をいただいたことがきっかけでした。

ーー 最初の研修のテーマは、どんな内容だったのですか?

 テーマは、「コーチングで深める私らしいおもてなし」。クライアントのご依頼は、おもてなしがメインでした。コーチングを使ってできるのではないかと思われたそうです。「おもてなし」というテーマが私にできるだろうかと思いましたが、テーマに関わらずコーチングを活用して研修が開催できることが分かったので良かったです。そこで研修をさせていただいた後で、研修の振り返りをした時に、社員さんお一人おひとりとお話をさせていただいた方がいいのではないかとご提案をしたところ、まず は管理職4人の方のコーチングを導入しようということになりました。そこが企業コーチングの最初のスタートでし た。

ーー その後は、どうやって企業コーチングの顧客先を開拓したのですか?

 主には口コミです。コーチングを導入してくださったクライアントがお客様を紹介してくださることもありますし、異業種交流会で知り合った経営者の方やビジネス塾の先輩からのご紹介もあります。私は、シングルマザーで、コーチングで子どもを食べさせていかなければいけないという気持ちがあります。そこからくる真剣さを評価してくださるお客様からの口コミが続いているのではないかと思っています。

ーー 実際に私がコーチにクライアントを紹介するときでも、その人のコーチとしてのレベルや実績も重要ですが、それ以上に重要視するのが、信頼感だと思っていますね。「仕事を依頼してもこの人はベストを尽くそうとするから大丈夫だな」という信頼感があれば、問題はないと思いますね。

 お仕事をさせていただいていると、クライアントが持つ課題が非常に大きくて、お役に立てるのだろうかと思うこともあります。しかし、私は普段、きれいごとだ、実現できないだろうと言われていることを実現できるようにサポートすることがコーチングだと思っています。人はやれると信じるのがコーチだと思います。

ーー 今の話はGCSで教えているコーチングピラミッドの自己基盤のところですよね。コーチングのスキルよりコーチのあり方に関わる大切な所、そこを相手が感じ取って信頼したり、「私もあの人のようになりたい」と思ってもらえるのでしょう。そこから企業コーチングにつながっているのは、営業のテクニックとかノウハウとかではないという 気がしますね。

 ありがたいことに、私のクライアントの社長が、取引のある金融機関や他の企業の経営者の方々にコーチングはいいよと言ってくださっているようで、それを金融機関さんから直接聞いたりすることなども多いですね。

ーー そうすると、どうやってたくさんのお客様を作るかについては、ご縁があった1社目、お一人目を本気でやるということですね。

 はい、本気です。経営者ができるかどうか不安に感じていらっしゃることについて、「必ずできる」と信じ、信じてることをしっかり伝えるようにしています。そう信じている自分でなければ、お客様のところにお伺いしてはいけないと思っています。

ーー 実際にコーチとして企業に入ると、その企業の社員さんに「コーチングって何?」という感じで言われたりすることはあるのですか?

 「本当に効果があるのですか?」と不信感を表す人はいらっしゃいます。そういう時には、そんな相手の気持ちに寄り添って、「確かに、商品を作っていた方が売り上げは上がりますよね」と伝えます。しかしながら、「社長の思いとしては、お一人おひとりが力を発揮されて、社員さんが幸せな人生を歩まれることが会社の業績に繋がるというお考えなので、そこに共感してお手伝いをさせていたいだいています」と伝えます。そして、「この度はお忙しい中で、時間をつくって来ていただいているので、お越 し下さった●●さんのお役に立てる時間にするにはどうするかは一緒にご相談してやっていきたいです」と伝えます。社員さんとは人生を振り返ったりすることもあるので、楽しみに来てくださる方も多くなってきました。

ーー 佐藤さんの対応の仕方を見ていると、最初から相手を認めることができているなと思います。そこからより良い未来に向けての方向性を整えている感じがします。やり方は、クライアントに寄り添ってクライアントに決めてもらう。

 コーチングには、「認める」というスキルがあり、「第三者の言葉をそのまま伝える」という方法があります。それが企業コーチングではとても役に立っています。会社の中では、お互いに表面には出さないけれども、相手をすごいなと思ったり、評価していたりすることがありますが、肝心の本人に直接伝わっていないことが多いのです。そういう時には、私がメッセンジャーの役割をさせていただいています。お話しくださった方に許可をいただいて「○○さんがあなたの~~なところをお手本にしたいって言 われてましたよ」という感じで、そのままお伝えするんです。

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後編
・売上が下がってしまった時の対処方法
・皆さんが素敵に変わっていくのを見るのが楽しい

Profile
佐藤 慶子コーチ
小学校教員、営業職、事務職等を経験してきたが、自分には、「仕事で積み上げたものがない」というコンプレックスを抱えていた。そして、いつかは、「人の人生に深く関われる仕事」をしたいと願い、探し続けてきた。職場での悩みの解決方法を模索する中で、コーチングに出会う。2012年独立。現在は、「愛を注ぐ企業支援」をテーマに、企業が将来にわたって業績を上げ続けるための土台づくりをお手伝いしている。経営者のビジョンの明確化、一対一の対話、ミーティングのサポートを中心に活動する「土台づくりパートナー」 >>ブログ

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