Coach Interview - 尾村 麻由美コーチ(1)

 今回お話をお伺いするのは、大阪在住でプロコーチとして活躍されている尾村麻由美さんです。尾村さんは、プロコーチとして起業されてから、経営者や管理職、起業を目指す方など、関わったクライアントは500人以上。ご自身も女性経営者として、銀座コーチングスクール(GCS)大阪校、京都校の代表を務められているほか、今年の2月にはGCS本部の副代表に就任され、コーチングの普及活動にも熱心に取り組まれています。

 現在、起業家として大活躍されている尾村さんですが、数年前は離婚により経済的に大変な苦労をされていたそうです。その尾村さんが、これまでどのように活動してこられたのか、弊社の事業推進部長であり、GCS代表の林英利がお伺いしました。(アンテレクト通信137号(2015.11)より)

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子どもたちに夢や目標を与える先生に感銘を受ける

ーー まずは現在のお仕事をお聞かせください。

 現在、プロコーチとしては、経営者や個人事業主、組織内の管理職の方などを対象に、パーソナルコーチングを提供しています。また、経済産業省が管轄している中小企業支援事業の登録専門家としての活動や、品川区立武蔵小山創業支援センターでは、専門アドバイザーという立場で、中小企業や起業家の方を支援しています。GCS関係では、大阪校と京都校の代表と講師、それからGCS本部では副代表としてスクール全体の運営に携わっています。

ーー 教育関係のお仕事も多いと伺っておりますが。

 はい、大阪某市の教育委員会様からのご依頼で、教頭先生向けのコーチング研修を担当させていただいたり、PTA様からは、保護者の方向けに「思春期の子どもの話の聴き方」などのテーマで講演させていただいたりしています。また、地元の小中学校では、特別講師として、生徒さんに「目標」についてお話させていただいたこともあります。

ーー 教育現場から起業家支援まで、幅広く活動されているのですね。そもそも、どのようなきっかけでコーチングをお知りになったのですか?

 数年前、元中学校教員で教育コンサルタントの方の「言葉と態度で、子ども達の心に本気で関わっていく」というテーマの講演を聞く機会がありました。講演の中で先生の体験談が紹介され、赴任された中学校で、家庭環境に問題を抱え、夢や目標を持てずやる気がない子どもや、人生を諦めてしまったようにも見える子ども達に対して、その先生は子ども達の話を積極的に聴き、質問したり考えさせたりするようにしたそうです。子ども達は、自分の話を真剣に聴き、認めてくれる先生に心を開くようになり、次第に夢や目標を持つようになって、イキイキと生活できるようになったそうです。

ーー なるほど。その先生がされていたことは、まさしくコーチングだったのですね。

 はい。私は先生の話に深く感銘を受け、「自分の子ども達に対して、この先生のように接したい。子ども達を100%応援できる親でありたい」と思ったことが、コーチングに興味を持ったきっかけでしたね。

逆境を学びのチャンスと捉える

ーー それで、すぐにコーチングを学ばれたのでしょうか?

 いえいえ、その後に色々ありまして...。私は2005年に離婚し、シングルマザーとして幼い2人の娘を育てていくことになりました。当時の私は、「資格も経験もお金もゼロ」の無い無い尽くしで...。まだ2歳と4歳の子ども達を養っていくために必死で仕事を探しましたが、なかなか決まらず、とても苦労しました。そしてやっとの思いで決まった仕事が、絵の具の箱などを作る内職の仕事だったのですが、1箱作って報酬はたったの0.8円。どれだけ頑張っても月の収入は数千円にしかなりませんでした。

ーー 大変な苦労をされていた時期があったのですね...。

 はい。その後、パートとして働く先が見つかったのですが、それでも保育園に掛かる費用を賄うことはできませんでした。「それならば」と、様々な仕事を3つ掛け持ちして、死にものぐるいで働きました。睡眠時間は2時間になり、体重は38kgまで落ち、ガリガリに痩せてしまいました。小学生の女の子並みの体重です(苦笑)。

ーー 今の尾村さんからは想像もつかない生活です...。

 もう、「神様のいじわる」って思いましたね。でも、「この子たちを養っていくために、手に職をつけなければ」と思うようになりました。とはいえ、何かのスキルを習得しようとも、経済的にも時間的にも、なかなか一歩を踏み出すことができませんでした。

ーー 身動きができない状態だったのですね。

 ええ、体力的にも精神的にも限界を感じ、「このままの生活を続けていたら、本当に倒れてしまう」と思いましたね。そして、追い打ちをかけるかのように、当時一番収入が多かったパートの勤務時間が、会社の都合で大幅に減ることになったのです。

ーー 「神様のいじわる」は度が過ぎますね...。

 ほんとに(笑)。減った収入を補うために、別の仕事を探そうかと思ったのですが、「今あらたな仕事を始めてしまうと、これまでと何も変わらない、変われない」と思ったんです。私はこの状況を何とかして変えたかった。そんなとき、以前から気になっていたコーチングのことを思い出したんです。そして、「収入が減る」ではなく、「時間が出来た」というように受け取り方を変えたのです。事実は何も変わらないのですが、「無いものからあるものへ」と意識が向いたことで、かなり気持ちが軽くなりましたね。そしてこの出来事は「神様からのプレゼント」だと受け取り、この時間をコーチングを学ぶ時間に当てると決めたのです。

ーー その状況の中でそのように意識を変化させられたなんて凄いですね。出来事に「悪いこと」なんてない。悪いと思うかは自分次第だ、ということですね。それにしても凄い。その後、どのようにしてGCSを知り、どのように受講されるようになったのでしょうか?

 その頃、自分の「アンテナ」が立つようになっていて、「これからの自分に必要だ」と思った講座やセミナーなどに、少しずつ参加するようにしていました。そして、ある話し方のセミナーに参加したときに、私がコーチングに興味があることを他の参加者に話したところ、ある方が私にGCSを紹介してくれました。その方はコーチングを学ばれた方ではなかったのですが、お知り合いにGCSのコーチがたくさんいるそうで、「GCSは良いところだよ」と聞かされていたそうです。

ーー 大変ありがたいお話です。

 でも、学ぶためにはお金が必要ですよね。経済的な余裕など全くない状態でしたので、これには、かなり頭を悩ませましたね。

ーー たしかに。それで、どうやってお金を工面されたのでしょうか。

 既にコーチングを学ぶ決心をしていたので、どうしたら費用を工面できるのか、あらゆる方法を考えました。そして考え抜いた結果、子どもたちの将来のために蓄えていたお金を、一時的に借りることにしました。つらい選択でしたが、「絶対に 1 年間で返す!」と自分と約束をし、ドキドキした気分で講座のホームページの「申し込みボタン」を押したことを、今でも鮮明に覚えています。

ーー なるほど、覚悟を決めるとは、こういうことなのでしょうね。そして、「手に職を」ということでしたが、コーチングを学び始められたときには、プロコーチとして活動していくことを意識されていたのでしょうか?

 最初に「コーチングを学びたい」と思ったときは、「自分の子育てに生かせたら」と考えていましたが、その後の環境の変化もありましたので、コーチングを学び始めるときには、「プロコーチになる」と決めていました。

ーー なるほど。これも「覚悟」ですね。コーチングを学ばれて、ご自身や周囲にはどのような変化がありましたか?

 まずは、子ども達との関わり方が変わりましたね。以前は、本当に忙しい毎日を送っていましたので、子どもの話も十分に聴けていなかったと思いますし、もともと娘は口数が少なかったので、「この子は話さない子なんだ」と決めつけていたようにも思います。しかし、講座で学んだことを意識して実践すると、それまであまり話さなかった長女が、楽しそうにたくさん話すように変わっていきました。学んだことが、実際に生活で役立つことを実感して、「ああ、コーチングを学ぶことを選択して本当に良かった」と思いましたね。

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Profile
尾村 麻由美
コーチ
経営者や管理職、起業を目指す方など、関わったクライアントは500社以上。プロコーチ・講師として、また経済産業省中小企業庁管轄中小企業支援事業の登録専門家、品川区立武蔵小山創業支援センター専門アドバイザーとして、経営者や管理職、起業家などのサポートを行っている。前職では、イギリス・イタリア・フランスの他、ヨーロッパほぼ全ての国に出向き、アパレルやインポートバック、宝石などのバイヤー&セラーを経験。また、15年以上に渡り、百貨店や飲食店、スポーツクラブなど、人と関わる「接客・販売」の業界に身を置いていた。経営者や起業家支援を行う傍ら、教育関係へのコーチングの普及にも力を入れており、教師やPTA向けの講演活動も多数行っている。自身も、高校生と中学生の姉妹を育てる女性起業家である。年間のコーチングセッション時間数300時間以上、講師登壇時間数600時間以上。銀座コーチングスクール大阪校代表/京都校代表/国際コーチ連盟 認定コーチ(ACC)

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