「水平質問」「垂直質問」を使って相手の中にあるものを引き出そう!

人とのコミュニケーションでは、 ほんの少し「問いかけ方」を変えるだけで、相手の表情や言葉がやわらかくなり、心の中にあったものが、自然と言葉になって出てくることがあります。
今回は、そのためのちょっとしたコツとして、コーチングで大切にしている 「水平質問」と「垂直質問」という二つの質問の使い方をご紹介します。
発想を広げる「水平質問」
まずは「水平質問」。
水平質問は、相手の発想や視野を横方向に広げていくための問いかけです。
相手が一つアイデアを出してくれたとき、そこで終わらせずに、そっと横に広げていくようなイメージです。
たとえば、部下がある課題への対応策をひとつ挙げてくれたとします。
そのときに「他にはどんな方法がありそうですか?」と聞いてみます。
少し間をおいてから、「もしもう一つ挙げるとしたら、どんな案がありますか?」と重ねてみる。
ときには「時間やお金の制約がないとしたら、どんなことができますか?」と、現実の枠を少しだけ外して考えてもらうのも良いかもしれません。
一度きりの質問で終わらせず、「他には?」「それ以外には?」と穏やかに繰り返していくことで、最初は2〜3個だったアイデアが、5個、6個と増えていくことも珍しくありません。
「そんな見方もあったんですね」「自分でもこんな案が出てくるとは思いませんでした」と、相手自身が驚くような答えが出てくることもあります。
水平質問は、相手の中にある可能性に、そっと追い風を送るような役割を果たしてくれます。
思考を深める「垂直質問」
一方の「垂直質問」は、すでに出てきた考えやアイデアを、縦方向にじっくり深めていくための問いかけです。
相手から何かアイデアが出てきたときに、「それは、なぜ大切だと思ったのですか?」と理由を尋ねてみます。
「具体的には、どんなことをするイメージですか?」と、内容のイメージをたずねるのも良いでしょう。
さらに「いつ頃までに、それを形にしたいですか?」と時間軸をたずねたり、「最初の一歩として、何から始めてみますか?」と行動レベルに落とし込んでいくことも大切です。
いわゆる「5W1H(なぜ/何を/いつ/どこで/誰と/どのように)」を意識しながら、会話の流れに合わせて少しずつ聞いていくイメージです。
こうした垂直方向の質問をしていくと、ぼんやりした「いいかもしれない」という思いつきが、「〇日までに、誰と、どこで、どう動くか」という具体的な行動計画へと姿を変えていきます。
相手の中にあった大切な思いや本音が、はっきりした言葉となって現れてくる瞬間でもあります。
水平と垂直を行き来すると、会話がやわらかくなる
実際の"現場"では、この二つの質問を組み合わせて使う場面が多くなります。
たとえば、部下との面談をイメージしてみてください。
最初は「この課題に対して、どんな対策が考えられますか?」と問いかけ、出てきた案に対して
「他には?」
「もしもう一つ挙げるとしたら?」
と水平質問で選択肢を広げていきます。
いくつか案が出そろってきたら、
「この中で、一番やってみたいと思うのはどれですか?」
と尋ねてみます。
そして選んだ案に対して、
「では、それをいつまでに進めましょうか」
「最初の一歩として、明日からできそうなことは何でしょう」
と、垂直質問で具体化していきます。
家庭でも同じです。
お子さんに
「夏休み、何がしたい?」
と聞いたあと、
「他には?」
「それ、どうやってやってみようか?」
と、水平と垂直を行ったり来たりしながら対話していくと、押しつけではない「一緒に考えた約束」が生まれてきます。
こちらが正解を与えるのではなく、相手の中にあるものが少しずつ形になっていく過程を、隣で見守っていくような関わり方です。
その積み重ねが、「この人には本音を話しても大丈夫」という安心感にもつながっていきます。
「わかる」と「できる」のあいだにある小さなギャップ
ここまで読んでいただくと、「水平が発想を広げる質問で、垂直が深める質問なのね」と頭では整理していただけたのではないでしょうか。
ただ、実際に人を前にすると、少し様子が変わります。
言葉に詰まってしまったり、ついアドバイスや説得に変わってしまったり、相手の表情や声のトーンを感じ取りながら、どこまで深く聞いてよいのか迷ったり...。
文章で読むとシンプルに見えるスキルほど、「知っている」と「使いこなせる」のあいだには、小さくて、でも確かなギャップがあるものです。
そのギャップは、実際に声に出して質問してみたり、誰かに自分の質問をフィードバックしてもらったりすることで、少しずつ埋まっていきます。
これはスポーツや楽器と同じで、「頭で分かったこと」を、体で確かめながら身につけていくプロセスなのかもしれません。
体験講座で「質問力」をそっと確かめてみる
銀座コーチングスクールには、こうしたコーチングのエッセンスを、まずは気軽に味わっていただくための「コーチング無料体験講座」があります。
この体験講座では、テキストだけではわかりにくいコーチングの楽しさや気づきを、やさしく体験できるよう工夫されています。
たとえば、いつもの会話では気づけない自分の「聴き方」「質問のクセ」にふと気づけたり、コーチングがうまくいくために大切なポイントが、自然と腑に落ちるような構成になっています。
また、
「明日から部下との1on1で、こんなふうに聴いてみよう」
「家庭でこんな質問をしてみたい」
といったヒントも、講師のミニ解説や簡単な演習を通じてつかんでいただけます。
雰囲気としては、堅苦しいセミナーというよりも、安心・安全でゆったりした空気の中で「自分にもできそうだな」という前向きな感覚が少しずつ芽生えてくるような場です。
今回ご紹介した「水平質問」「垂直質問」を読んでいただき、
「自分の普段の質問グセを、実際の場で確かめてみたいな」
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今日お伝えした二つの質問が、あなたの毎日の会話を、少しだけあたたかく、前向きなものにするきっかけになれば嬉しく思います。