GCSのコーチングの理念/学習モデル/アプローチ手法

コーチングが機能するための4つの条件

言葉遣いのテクニック、すなわち狭い意味でのスキルを駆使するだけではコーチングは機能しません。コーチングが真に機能するためには、次の4つの要素が不可欠です。

自己基盤

クライアントのゴール達成をサポートするには、コーチ自身がゴール達成についての経験と深い見識を持っていることが必要です。コーチは常にクライアントのロールモデル(模範)であることを目指します。その前提として、自分自身をよく理解し、自分自身に対して肯定的な思いを持ち、それを相手に開示できることが大切です。「自己基盤」とは、それらを総合して指す言葉です。自分自身に対して肯定的な思いは、クライアントの可能性を信じるコーチングマインドを発揮するための大前提となります。

コーチングマインド

コーチは、クライアントの持っている無限の可能性と、クライアントが抱える問題の解決やゴール達成へ向けて必要な事柄は、すべてクライアントの中にあることを信じます。コーチとして自己基盤が確立されていてはじめて、そのように信じることが可能になります。コーチはクライアントを人間として尊重し、100%クライアントの味方になります。クライアントより偉いのではなく、共にゴール達成を目指すパートナーが、コーチです。

信頼関係

信頼関係のない相手との間では、コーチングは機能しません。人は、信頼しない相手に対しては心を開かず、本音を話すことはありません。コーチがクライアントの気づきと行動を促していく上では、本音での対話が不可欠です。ですからコーチングでは、まずはクライアントの言葉に耳を傾け、認め、受け入れ、信頼関係を築くことに注力します。また、コーチがコーチングマインドをもってクライアントに接することで、その信頼関係を、より強固なものとしていくことができます。

スキル

コーチングを効果的に行なうためのスキルは体系化されています。これらのスキルを効果的に用いることにより、コーチングをよりよく機能させることができます。コーチはスキルを知り、理解を深め、実際に使ってみて効果を検証し、自分のものにしていきます。また、スキルには、どれだけコーチングマインドを発揮できたかが、反映されます。

クラス運営の考え方

クラスではコーチングについての知識を身につけるだけでなく、国際基準に則ったコーチングを実際に"できる"ようになることを目指します。そのために、具体的には次のステップを踏んで学びます。

  1. 聴く」「質問する」など、国際基準に則った個別のスキルを習得する
  2. それらのスキルを使い、セッションを組み立てる方法を習得する
  3. あらゆる状況に対応できるように、セッション運営の戦略を習得する
  4. 極的に実践練習を重ねていく
  5. プロコーチとしての専門分野を決め、プロとして活動する上で必要な実務を習得する
  6. コーチングの国際基準についての詳しい知見を獲得し、スキルをブラッシュアップする

GCSのオリジナルメソッド「CASPARモデル」

コーチングスキルの習得と並行して自己基盤の確立を促していく指導法として、「CASPARモデル」という考え方に基づくオリジナルメソッドを開発し、クラス運営に活かしています。

このメソッドでは、事例に基づくディスカッションをきっかけとして受講者自身の経験を掘り下げていきます。それにより、実生活における効果的なコミュニケーションのあり方への理解・納得が深まると共に、自身の内にあるリソースへの気づきが促されます。

自己理解・自己承認・自己開示という一連のプロセスが組み込まれることで、自然な形で自己基盤の確立を促すのが「CASPARモデル」の狙いです。以下、「CASPARモデル」によるクラスの進め方です。

CAse(事例)

実際のセッション事例や体験談を提示し、ディスカッションを通じて、コーチングスキルの効果や必要性を実感します。

Self-discovery(発見)

事例に関連する受講者自身の過去の体験を掘り下げ、自身の持つリソースへの気づきを促します。

Principle(解説)

事例及び発見した事柄の背景にあるコーチングスキルの原理・原則を解説し、理解を深めます。

Application(適用)

学んだ原理・原則に基づいてコーチングスキルを実践(適用)し、体得します。

Resolution(決意)

実践したスキルの効果について考え、体得したスキルを効果的に活用していくことを決意します。