クライアントとの恋愛は禁止?そのルールの裏側にあるコーチの倫理観とは

コーチとクライアントの恋愛が「禁止」とされる理由
国際コーチング連盟(ICF)の倫理規定には、コーチとクライアントの距離感について、はっきりとした一文があります。
コーチングの関係における親密さのレベルを意識します。
私はクライアントまたはスポンサーと性的または恋愛関係を持ちません。
関係性に変化を感じた場合、私はそのような問題に対処するか、もしくは契約関係を解除するために適切な措置を取ります。
ここでいう「クライアント」には、コーチングセッションを受ける方だけでなく、スクールの受講者も含まれます。
一見すると少し堅苦しく感じられるかもしれませんが、このルールの根っこにあるのは、「クライアントを守りたい」「コーチングの場を安心・安全なものにしたい」という思いです。
人を好きになることは素敵。でも、コーチングの場では...
人を好きになること自体は、とても自然で、とても素敵なことです。
誰かに惹かれる気持ちは、誰もが持ち得る、ごく人間的な感情ですよね。
ただ、その相手が「コーチ」や「クライアント」という立場であるときには、少し立ち止まって考える必要が出てきます。
コーチングの場では、クライアントは時に、自分の弱さや迷い、なかなか他人には話せない本音を打ち明けてくれます。
「ここなら話しても大丈夫」と感じるからこそ、心の奥の部分を預けてくれているのです。
もし、そうしたやりとりの中に、コーチ側の「下心」や「別の目的」が紛れ込んでいたとしたら、どうなるでしょうか。
信じて話してきたクライアントは、「裏切られてしまった」と感じたり、「自分の弱さを利用された」と傷ついたりするかもしれません。
一度揺らいでしまった信頼を取り戻すのは簡単ではありませんし、場合によっては、その人にとっての「コーチング」そのものが、不信や苦い経験と結びついてしまうこともあります。
クライアントから好意を向けられたときに、コーチが大切にしたいこと
逆のパターンもあります。
クライアントの側が、コーチに好意を抱くことも決して珍しくはありません。
自分の話をじっくり聴いてくれる相手に、安心感や特別な感情を抱くことは、とても自然なこと。
もしかするとコーチ自身が、その気持ちをうれしく感じたり、心が揺れたりすることもあるかもしれません。
それでも、プロとしてその気持ちに応じてはいけない、とされているのには理由があります。
恋愛感情には、どうしても「相手に寄りかかりたくなる気持ち」や「依存したくなる気持ち」が混ざりやすくなります。
一方で、コーチングは、クライアントが自分で考え、自分の足で歩んでいけるように支援するコミュニケーションです。
もしコーチが恋愛感情に応えてしまえば、クライアントはコーチに依存しやすくなり、コーチングの場が「成長のための対話」ではなく、「感情に振り回される場」になってしまう可能性があります。
だからこそ、コーチには、相手の気持ちを否定するのではなく、その尊さを受け止めながらも、あくまで「コーチ」と「クライアント」という枠組みを守る姿勢が求められます。
毅然としていながらも温かい態度を保ちつつ、一線を越えない関わり方を選び続けること。
それが、プロフェッショナルなコーチのあり方と言えるのだと思います。
関係が終わった「そのあと」をどう捉えるか
とは言え、人の気持ちは、きれいに白黒つけられるものでもありません。
コーチとクライアントとしての関係がきちんと終わり、十分な時間が流れてからもなお、静かな恋心のようなものが残り続ける......
そんなケースも、もしかしたらあるかもしれません。
そのようなときには、少し立ち止まって、自分の心に問いかけてみることが大切です。
コーチングの契約や関係性は、本当に終わっているだろうか。
これから築こうとしている関係は、自分にも、相手にも、周りの人にも誠実だと言えるだろうか。
それらを丁寧に確認したうえで、「それでも大切にしたい感情だ」と感じるならば、一歩踏み出すことを選ぶ方もいるかもしれません。
それが本当に「運命の出会い」だった、ということも、ないとは言い切れませんよね。
大切なのは、感情のままに動くことではなく、自分の在り方と相手の人生の両方を尊重しながら、慎重に選択していく姿勢なのだと思います。
倫理観も含めて学べるのが、コーチングの面白さ
ここまで読んでみると、「クライアントとの恋愛は禁止」というルールは、決してコーチの自由を縛るためだけのものではないことが、少し伝わってきたでしょうか。
このルールの根底には、クライアントの尊厳と安全を守りたいという願いがあります。
同時に、コーチ自身が自分の軸を保ち、プロとして長く信頼され続けるための支えにもなっています。
そして、こうした倫理観は、テキストを読むだけではなかなか実感しづらいものでもあります。
実際の事例や、他のコーチたちの経験談、クラスの中での対話などを通じて、「こういう場面で迷うのか」「自分だったらどうするだろう」と考えてみることで、少しずつ自分なりの納得感が育っていきます。
「質問のスキル」だけでなく、「人との関わり方」そのものを見つめ直せるのも、コーチングを学ぶ醍醐味のひとつかもしれません。
コーチングに興味を持ったあなたへ
もしこの記事を読みながら、「コーチングって、思っていたより奥が深いかもしれない」「コーチとクライアントの関係性について、もう少しきちんと学んでみたい」「自分も、誰かの成長を支える関わりができたらいいな」
そんなふうに感じてくださったなら、コーチングの"入り口"を、少しのぞいてみませんか。
銀座コーチングスクールのコーチング無料体験講座は、約90分でコーチングのエッセンスにぎゅっと触れられる時間です。
講座の中では、たとえばこんな体験ができます。
・いつもの会話では気づきにくい「自分のコミュニケーションのクセ」に、ふっと気づけること。
・相手の話を安心して聴ける空気づくりや、明日から試したくなる"聴き方・質問のちょっとしたコツ"に触れられること。
・コーチングがうまくいくために大切なポイントや、よくある誤解がやさしく整理されていくこと。
さらに、GCSでの学びのステップや、どんな順番でクラスを受講していくのか、国際資格(ICF認定資格)取得までの全体像もイメージしやすくなります。
そして何より大切にしているのは、安心・安全で、ゆったりとした雰囲気です。
参加された多くの方が、「思っていたよりリラックスして学べた」「自分にもできそうだと感じられた」とお話しくださいます。
オンライン・対面の両方で開催していますので、ご自宅から気軽に参加していただくことも、会場の空気を味わっていただくこともできます。