考えることは得意なのに自分の気持ちを伝えるのが苦手なあなたへ

仕事のこと、これからのこと、人との関わりのこと。
私たちは日々、たくさんのことを考え、言葉にしています。
けれど、自分が何を感じているのかをそのまま言葉にしようとすると、急に難しく感じることがあります。
コーチングにおいても、相手の話を聴くときに大切なのは、表面的な言葉や思考だけでなく、その奥にある気持ちにも目を向けることです。
今回は、「考えを伝えること」と「気持ちを伝えること」の違いを手がかりに、対話を少し深めるためのヒントについて考えてみたいと思います。
考えを伝えることには、私たちは慣れている
多くの人は、日々たくさんのことを考えています。
仕事をどう進めるか。
相手にどう伝えるか。
何を優先し、どう判断するか。
そうしたことを整理しながら、私たちは自然に「考え」を言葉にしています。
たとえば、「このプロジェクトには新しいアプローチが必要だと思う」「もっとチームメンバーの意見を取り入れたほうがいい」「この映画は面白かったけれど、感情描写が少し物足りなかった」といった言葉は、自分の見立てや解釈、意見を相手に伝える表現です。
こうした言葉はとても大切ですし、日常でも仕事でも欠かせないものです。
自分が何をどう捉えているのかを伝える力は、対話の土台になります。
私たちは、思っている以上にこの「考えを伝えること」に慣れているのかもしれません。
気持ちを伝えることは、思っている以上にむずかしい
その一方で、「気持ちを伝える」となると、少し様子が変わります。
嬉しい。
不安だ。
悔しい。
寂しい。
ほっとした。
悲しかった。
気持ちを表す言葉は、どれもとてもシンプルです。
けれど、そのシンプルな言葉を口にすることに、ためらいを感じる人は少なくありません。
何を感じているのかはわかっているはずなのに、いざ言葉にしようとすると、うまく出てこない。
あるいは、気持ちそのものより先に、理由や説明を話してしまう。
そんなこともあるように思います。
正しく伝えようとしたり、わかりやすく説明しようとしたりするほど、かえって「感じていること」から遠ざかってしまうことがあります。
考えを話すことと、気持ちを表すことは、似ているようで少し違う営みなのです。
コーチングでは、その人の気持ちに触れることが大切になる
コーチングの場でも、この違いはとても大切です。
セッションではつい、「何が起きたのか」「どう考えているのか」「これからどうしたいのか」といった話に意識が向きやすくなります。
もちろん、それらはどれも大切です。
けれど、実際に対話が深まる瞬間というのは、その出来事についてどう考えたかだけでなく、そのとき何を感じていたのかに触れられたときに訪れることがあります。
たとえば、前向きな言葉を口にしていても、その奥には迷いがあるかもしれません。
「大丈夫です」と言いながら、本当は不安を抱えていることもあります。
「やってみます」という返事の中に、戸惑いやためらいが隠れていることもあるでしょう。
こうした微妙な感情の動きは、言葉の表面だけを追っていては見えてきません。
相手の話を深く聴くためには、考えだけでなく、気持ちにも耳を澄ませる必要があります。
自分の気持ちに気づける人ほど、相手の気持ちにも気づきやすい
ここで大切なのは、相手の感情に気づく力は、自分自身の感情にどれだけ丁寧でいられるかともつながっている、ということです。
自分が何を感じているのかにあまり意識を向けないままでいると、相手の気持ちの揺れにも気づきにくくなります。
反対に、自分の内側に起きていることを少しずつ感じ取れるようになると、相手の言葉の奥にあるものにも自然と敏感になっていきます。
だからこそ、ときどき立ち止まってみることが大切なのだと思います。
私は今、何を考えているのだろう。
その奥で、何を感じているのだろう。
そんなふうに自分に問いかけてみるだけでも、対話のあり方は少しずつ変わっていきます。
一日の終わりに、その日にあった出来事を振り返るときも、「今日は何があったか」だけで終わらせず、「そのとき私はどんな気持ちだったのだろう」と自分の内側にそっと目を向けてみる。
嬉しかったのか、安心したのか、悔しかったのか、少し寂しかったのか。
そんな小さな確認の積み重ねが、感情への感度を育ててくれるように思います。
頭で理解するだけでは見えないこともある
ただ、こうしたことは、頭で理解するだけではなかなか身につきにくいものでもあります。
本を読んだり、知識として学んだりすることで見えてくることもありますが、実際の対話の中でこそ気づけることも少なくありません。
自分がどんな聴き方をしているのか。どんな場面で思考に寄りやすいのか。
相手の気持ちに触れそうになるとき、自分の中にどんな反応が起きるのか。
そうしたことは、実際に対話をしてみて初めて立体的に見えてくることがあります。
対話は、知識だけで整うものではなく、体験の中で少しずつ育っていくものなのかもしれません。
まとめ
気持ちを表現することは、特別な才能ではなく、少しずつ育てていける力です。
そしてその力は、自分を理解することにも、相手を理解することにもつながっていきます。
考えることが得意な人ほど、その先で「感じていること」にも目を向けられるようになると、対話はよりやわらかく、より深いものになっていくのではないでしょうか。
その変化の入り口は、まず自分の気持ちに気づくことから始まるのかもしれません。
対話の深まりを、実際に感じてみたい方へ
もし今、考えを整理することには慣れているけれど、気持ちに触れる対話にはまだ手応えがないと感じているなら、そうした感覚を実際に確かめられる場に触れてみるのも一つです。
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学ぶかどうかを決める前に、まずはコーチングがどのようなものなのか、自分にとってどんな意味を持ちそうかを感じてみたい方にとっては、無理のない入り口になるかもしれません。
頭で理解するだけではなく、対話の中で何が起きるのかを実際に感じてみることで、「考え」と「気持ち」の違いが、より自分ごととして見えてくることもあります。