目配り・気配り・心配りで育てる思いやりのあるコミュニケーション

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コーチングの場で、クライアントの力を信じて関わっているつもりなのに、
「もっと寄り添える気がする」
「本音を引き出すにはどうしたらいいのだろう」
と感じることはありませんか?

そんなときにヒントになるのが、「目配り・気配り・心配り」という三つの「配り」です。

思いやりのあるコミュニケーションとは

コーチングセッションの場にいるとき、私たちはつい
「役に立つ質問をしよう」
「しっかり聴かなければ」
と、技術的な部分に意識を向けがちです。

もちろん、それも大切なことですが、その土台として忘れたくないのが「思いやりのあるコミュニケーション」です。

ここでいう「思いやり」とは、クライアントを特別扱いすることではありません。

その人の存在や気持ちをまるごと大切にし、安心して本音を話せる空気を一緒につくっていくことだと感じています。

そのためのヒントとして、「目配り・気配り・心配り」という三つの「配り」を意識することをお奨めします。

一つずつ、ゆっくり見ていきましょう。

目配り―言葉にならないサインに気づく

最初の「目配り」は、クライアントの様子をそっと見守るようなまなざしです。

話している内容だけでなく、表情や姿勢、手の動き、声のトーンの変化などに気持ちを向けていると、「今、少し引っかかったのかな?」という瞬間に気づけることがあります。

言葉では「大丈夫です」と言っていても、どこか表情が硬かったり、ある話題に触れた途端に視線が泳いだり、急に声が小さくなったりすることがあります。

そんな小さな変化は、その人の本音や戸惑い、ためらいがちらりと顔を出しているサインかもしれません。

そうしたときに、「今のお話、少し言いにくそうにも見えたのですが、どんなお気持ちでしょう?」と、そっと尋ねてみると、クライアントが心の奥にしまっていた思いを言葉にできることがあります。

目配りは、相手をじっと観察するというよりも、「あなたのことをちゃんと見ていますよ」という静かなメッセージなのだと思います。

気配り―クライアントの立場や考え方を尊重する

二つ目の「気配り」は、クライアントの世界を尊重する姿勢です。

コーチとして関わっていると、
「こうした方がいいのに」
「自分ならこうするのに」
と感じてしまう場面も出てきます。

けれど、そこで自分の正しさを前に出しすぎてしまうと、相手はだんだんと本音を話しづらくなってしまいます。

気配りは、
「この人はどう感じているのだろう」
「どんな背景があって、今この選択をしているのだろう」
と、クライアントの側に立ってものごとを見ようとすることから始まります。

相手の言葉を急いで整理したり結論に運んだりするのではなく、まずは「そう感じていらっしゃるんですね」と受けとめること。

そして、その人のペースや話し方に合わせて、問いかけの深さや進め方を調整していくこと。

そうした小さな気配りの積み重ねが、「ここでは自分の本音をそのまま話していいんだ」という安心感につながっていくように思います。

心配り―感情や背景ごとまるごと大切にする

三つ目の「心配り」は、クライアントの感情や事情、その背景にあるストーリーをまるごと受けとめる姿勢です。

これまでの経験の中には、嬉しい出来事だけでなく、つらかったこと、悔しかったこと、誰にも言えなかった思いも含まれているかもしれません。

そんな話を打ち明けてくれたときに、
「それは大変でしたね」
「その中でここまで頑張ってこられたんですね」
と、まずはねぎらいの気持ちを向けることも、心配りの一つだと感じています。

不安や迷いが伝わってくるときには、無理に前向きな方向に導こうとするのではなく、「今どんなお気持ちですか?」と、丁寧に確かめながら進めていく。

クライアントが大切にしている価値観に気づいたときには、「それが、あなたにとっての大事な軸なのですね」と、そっと光を当ててあげる。

そうした関わりを通じて、「この人になら、もう少し踏み込んだ話もできるかもしれない」と感じてもらえたとしたら、それは心配りが伝わった瞬間なのかもしれません。

三つの「配り」がもたらしてくれるもの

目配り・気配り・心配りの三つを意識していると、セッションの場の雰囲気が少しずつ変わっていきます。

クライアントが、最初は様子をうかがうように話していたのが、だんだんと表情がやわらぎ、自分のことを言葉にすることを楽しんでいるように見える瞬間があります。

こちらも、相手の言葉や変化に触れながら、「この人にはこんな一面もあったのか」と新しい発見をさせてもらうことが増えていきます。

もちろん、いつも完璧にできるわけではありませんし、「うまく関われなかったな」と振り返る日もあります。

それでも、
「次はもう少し目配りをしてみよう」
「今回は、相手の価値観にもう一歩近づいてみよう」
と、小さなチャレンジを続けていくことで、思いやりのあるコミュニケーションは少しずつ身についていくのだと思います。

あなたのセッションでは、どの「配り」が得意で、どこをもう少し伸ばしていきたいと感じるでしょうか。

そんな問いを、自分自身に向けてみるところから始めていただいても良いかもしれません。

「もっと深く身につけたい」と感じた方へ

ここまで読んでくださったあなたは、きっとコーチングやコミュニケーションについて、日頃から丁寧に向き合っていらっしゃるのだと思います。

文章として読むだけでも、たくさんの気づきがありますが、実際に人と関わりながら体験してみると、「ああ、こういう感覚なんだ」と腑に落ちることがぐっと増えていきます。

銀座コーチングスクールの「コーチング無料体験講座」では、約90分という短い時間の中で、コーチングの楽しさや、対話から生まれる気づきをやさしく味わっていただけます。

いつもの会話ではなかなか意識しない、自分の話し方や聴き方のクセにふと気づいたり、「だから今までうまくいかなかったのかもしれない」と感じる場面があるかもしれません。

また、コーチングがうまくいくために大切なポイントや、よくある誤解についても、講師とのやり取りやミニワークを通じて自然と理解が深まっていきます。

明日からの職場での1on1や、家庭でのちょっとした会話が、少しだけ楽しく、少しだけスムーズになるような「聴き方・質問のコツ」もお持ち帰りいただけるはずです。

「本格的に学ぶかどうかはまだ決めていない」
「自分にもできるか少し不安」
という方でも、安心・安全でゆったりした雰囲気の中で、「もしかしたら、私にもできるかもしれない」という前向きな感覚が、少しずつ育っていく時間になると思います。

「自分のコミュニケーションをもう少し磨いてみたいな」
「思いやりのあるコーチングを、体験として味わってみたいな」
そんなふうに感じていただけたあなたが、思いやりのあるコーチングコミュニケーションをさらに育てていくきっかけになれば、うれしく思います。

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