ICF Credentialing Exam(ICF認定資格試験)を通して見えたこと-コーチングと向き合う、さりげない一歩

銀座コーチングスクール(GCS)広報チームの、あかがわみさこです。
先日、ICF Credentialing Exam(ICF認定資格試験)を受験し、無事に合格しました。
「以前の試験より難しくなっているらしいよ」と耳にしていたこともあって、本番まではずっとそわそわしていたのですが、終わってみると、試験勉強や受験そのものが「自分のコーチングを見つめ直す時間」になっていたことに気づきました。
この記事では、ICF資格や試験のことをざっくりご紹介しつつ、学びのプロセスで感じたこと、そして「これからコーチングを学んでみたいな」という方への、小さなヒントをお届けできたらと思います。
ICFの資格って、どんなもの?
まずは、ICF(国際コーチング連盟)の資格について簡単に触れておきます。
ICFには、ACC・PCC・MCCという3つの国際資格があります。
レベルによって求められるコーチング時間やトレーニング時間は異なりますが、いずれも
・一定のトレーニングと実務経験を積んでいること
・ICFの倫理規定、コア・コンピテンシーに沿ってコーチングを行なっていること
などの基準を満たした、「世界標準のコーチ」であることの証明になります。
と聞くと、少しハードルが高く感じられるかもしれませんが、学びのスタートラインはもっと素朴なもので大丈夫です。
「部下やチームとのコミュニケーションを良くしたい」「子どもとの関わり方を見直してみたい」「人の話を、もっときちんと聴けるようになりたい」
私自身も、最初から「国際資格を目指すぞ!」と決めていたわけではなく、こうした日常のモヤモヤが、コーチングに興味を持ったきっかけでした。
ICF Credentialing Examはどんな試験?
ICF Credentialing Examは、ACCやPCCなどのICF資格申請時に必要となる筆記試験です。
以前は「CKA(Coach Knowledge Assessment)」と呼ばれていましたが、2022年に名称と内容がアップデートされました。
試験時間はおよそ3時間。
前半と後半に分かれて、合計81問が出題されます。
途中には短い休憩も挟まれ、ほっと一息つけるような構成になっていました。
私は自宅だと子どもの声や生活音が気になること、通信環境への不安もあったことから、会場受験を選びました。
会場では、スタッフの方が本人確認や機器のセットアップをてきぱきと進めてくださり、「試験に集中する」ことだけに意識を向けられたのが、とてもありがたかったです。
試験問題はすべて、コーチングの現場を想定したシナリオ形式で出題されます。
クライアントとの対話が描かれ、その続きをどのように進めるのがコーチとして最も適切か、逆にどの対応が最もふさわしくないかを選んでいきます。
以前のCKAとの大きな違いは、「BEST(最も適切)」な選択肢だけでなく、「WORST(最もふさわしくない)」選択肢も選ぶ点です。
「何が良いか」を考えるだけでなく、「何が望ましくないか」も見極める必要があるため、体感としては、少し難易度が上がったように感じました。
とはいえ、奇抜なひっかけ問題がずらりと並んでいるわけではありません。
ICFの倫理規定やコア・コンピテンシーに沿って、クライアントの尊厳や主体性を大切にする姿勢を持っていれば、落ち着いて読み解いていける問題が中心だと思います。
勉強の仕方と、支えになった学びの場
現時点では、いわゆる「公式問題集」のようなものはなく、その代わりに大切になるのが、ICF倫理規定(ICF Code of Ethics)とコア・コンピテンシー(ICF Core Competencies)をじっくり読むことです。
最初にテキストを開いたときは、少し堅い条文を読んでいるような感覚もあり、なかなか頭に入ってきませんでした。
けれども読み進めていくうちに、同じような言葉や表現が何度も登場することに気づきます。
「クライアントの自律性を尊重すること」「判断や解決策を押しつけないこと」「権力や影響力の使い方に自覚的であること」
こうしたフレーズを追いながら、「これは自分のセッションのどんな場面に当てはまるだろう?」「私が苦手なのは、どの部分だろう?」と、具体的なやりとりを思い浮かべていくと、書かれた言葉が少しずつ"生きた言葉"に変わっていきました。
また、私はGCSの国際資格取得コース・クラスLも受講しました。
クラスLでは、倫理規定やコア・コンピテンシーについて、講師の経験やエピソードも交えながら学ぶことができます。
テキストを一人で読んでいるだけではイメージしづらい部分も、「実際の現場ではこんなことがありました」「この項目は、こういう場面で特に意識しています」といった話を聞くことで、具体的にイメージできるようになりました。
ほかの受講生の質問や、ちょっとしたつぶやきから、「あ、そこ気になっているのは自分だけじゃないんだ」と安心できたことも、心強かった点のひとつです。
クラスLは再受講も可能なので、「一度受けたけれど、もう少し深めたい」「試験の前に整理し直しておきたい」というタイミングでも、頼りになる場だと思います。
試験を通して見えてきた、コーチングの価値
試験に向けた準備は、短距離走というよりも、ゆるやかな登り坂を歩き続けるような感覚に近かったかもしれません。
仕事や家庭とのバランスを取りながら勉強時間を確保し、模擬問題に頭をひねり、録音したセッションを自分で何度も聴き返す日々。
それでも、資格取得を目指すプロセスそのものが、コーチとしての自分を見つめ直す機会になったと感じています。
倫理規定を読むたびに、「私はクライアントの可能性を、どれくらい信頼できているだろう」「ついアドバイスに寄ってしまう場面はないだろうか」と、自分の在り方に問いを向けることになりました。
コア・コンピテンシーを意識してセッションを振り返ると、うまくいった点と同じくらい、「ここはもう少し沈黙を待てたかもしれない」「この場面では別の質問があり得たな」といった発見が、次々と見えてきます。
そうした気づきの積み重ねの中で、「コーチングは、クライアントのためだけではなく、自分自身の生き方や働き方も見直してくれるものなのだな」という感覚が、少しずつ育っていきました。
合格の知らせを受け取ったときの嬉しさはもちろんですが、それ以上に、「ここからまた、コーチとしての歩みを続けていくんだな」という、静かな決意のようなものが胸に残ったのが印象的です。
これからコーチングを学んでみたい方へ
ここまでお読みいただいて、「ICF資格というものが、なんとなくイメージできてきた」「いつかチャレンジしてみたい気もする」「そこまでではないけれど、コーチングには前から興味がある」。
そんな気持ちが少しでもよぎった方も、いらっしゃるかもしれません。
最初から「資格取得」を大きなゴールに掲げなくても、まったく問題ありません。
むしろ、「自分のコミュニケーションを見直してみたい」「人の話をもっと聴けるようになりたい」といった身近な動機のほうが、日々の生活や仕事と結びつきやすく、学びが自然と深まっていくことも多いと感じます。
コーチングの世界に触れる方法はいくつかありますが、本や記事で知識を得ることに加えて、「コーチングの場を実際に体験してみる」ことは、やはり大きなきっかけになります。
講師の雰囲気やクラスの空気感、参加している人たちの表情。
そうしたものは、文章だけではなかなか伝わりません。
「この場なら、自分も安心して学べそうだな」「ここで出会う人たちと、一緒にコーチングを深めていきたいな」。
そんな直感が働くかどうかは、実際に足を運んでみて、初めてわかるものなのだと思います。
銀座コーチングスクールでは、コーチングが初めての方や、「興味はあるけれど、いきなり本格的なコースに申し込むのは不安」という方のために、無料体験講座を開催しています。
短い時間ではありますが、コーチングの基本的な考え方に触れたり、ミニ体験を通じて実際の雰囲気を味わっていただいたりしながら、「コーチングってこういう感じなんだな」「ここで学ぶと、自分の仕事や暮らしにこう生かせそうだな」と、少し先の自分をイメージしていただける内容になっています。
振り返ってみると、私自身にとっての大きな分岐点も、この無料体験の時間でした。
そのときに感じた「なんだか良さそう」「もう少し知ってみたい」という小さな感覚が、結果的に、学びや資格取得へとつながる最初の一歩になりました。
もし、この記事のどこかで心にひっかかる言葉や場面があったなら、その感覚が新しいうちに、無料体験講座のページをそっとのぞいてみてください。
コーチとしての学びは、ある日突然大きな決意とともに始まるというよりも、「ちょっと行ってみようかな」という、さりげない一歩から始まることが多いのかもしれません。
あなたが、その一歩を踏み出したくなったときに、スクールでお会いできたらうれしいです。