「共感」と「同感」の違いを知ると、対話はもっとやさしくなる

「相手に寄り添うことが大切」と聞くと、多くの人は「わかります」「私も同じです」と声をかけることを思い浮かべるかもしれません。
けれど、相手を受け止める言葉の中にも、少しずつ違いがあります。
たとえば「共感」と「同感」。
どちらも相手に寄り添う言葉のように見えますが、実は立っている場所が少し違います。この違いを知っておくと、職場での1on1や部下との面談、家族や友人との会話が、今よりも少しやわらかく、深いものになっていきます。
共感とは、相手の気持ちのそばに立つこと
共感とは、相手が感じていることを、相手の世界に立って理解しようとする姿勢です。
「それは大変でしたね」と言うとき、そこには評価や判断ではなく、「あなたはそう感じたのですね」と受け止めるまなざしがあります。
たとえば、誰かが「上司に強い言い方をされて、ずっと気になっているんです」と話してくれたとします。
このとき共感的に関わるなら、「その一言が、今も心に残っているのですね」と、まずは相手の感情にそっと光を当てます。
正しいかどうかを決めるのではなく、相手がその出来事をどう受け止め、どんな気持ちでいるのかに耳を澄ませる。
それが、共感の基本にある関わり方です。
同感とは、「私もそう思う」と重なること
一方で、同感は「私もそう思います」と、自分の考えや感情を相手に重ねることです。
相手の話に対して「それはつらいですよね。自分でも同じように感じると思います」と返すとき、そこには相手の感じ方に賛成し、後押しするニュアンスがあります。
同感は、相手に安心感を与えることがあります。
「自分の感じ方はおかしくないんだ」と思えたり、「これでいいんだ」と一歩踏み出す力になったりすることもあるでしょう。
ただし、同感には少しだけ注意が必要です。
「私も同じ経験があります」と話し始めたつもりが、いつの間にか会話の中心が相手から自分に移ってしまうことがあるからです。
寄り添うつもりが、相手の世界から離れてしまうこともある
誰かの話を聞いていると、自分の経験や価値観が自然に浮かんでくるものです。
「自分ならこうするのに」
「そんなに気にしなくてもいいのに」
「それは相手が悪いよ」
そんな言葉が、心の中に出てくることもあるでしょう。
けれど、コーチングの対話では、相手の中にある答えや可能性を大切にします。
そのためには、自分の考えを急いで重ねる前に、相手が何を感じ、何を大切にしているのかを丁寧に聴くことが欠かせません。
共感は、相手の世界に近づくこと。
同感は、自分の世界と相手の世界が重なること。
この違いを意識するだけで、聴き方は少し変わっていきます。
まずは「わかる」よりも「聴く」ことから
相手に寄り添いたいと思うほど、私たちはつい「わかります」と言いたくなります。
けれど、本当に相手の力になる関わりは、「わかったつもり」にならず、もう少し聴いてみるところから始まるのかもしれません。
「そのとき、どんな気持ちだったのですか」
「その出来事は、あなたにとってどんな意味がありましたか」
「これからどうしていきたいと思っていますか」
こうした問いは、相手の感情や考えを引き出し、自分自身の中にある答えに気づくきっかけになります。
そして、相手が大切にしていることが見えてきたとき、そっと同感を添えることで、その人の選択をやさしく後押しすることができます。
対話の質は、少しの意識で変えられる
共感と同感の違いは、知識として理解するだけでなく、実際の対話の中で少しずつ身についていくものです。
声のトーン、表情、沈黙の間合い、自分の内側に起こる反応。そうした細かなものが重なり合って、相手との関係性はつくられていきます。
もし、日々の会話の中で「もっと相手の話を聴けるようになりたい」「部下や家族との関わり方を変えたい」と感じているなら、コーチングの対話に触れてみることは、よいきっかけになるかもしれません。
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知識として読むだけではわかりにくい「寄り添う感覚」を、自分の言葉と実感で確かめてみてください。
「共感」と「同感」の違いに気づくと、相手との距離の取り方や言葉の選び方が少しずつ変わっていきます。
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