「どう見られたいか」から「どうありたいか」へ──コーチングがくれた静かな問い

銀座コーチングスクール(GCS)広報チームの森水三香子です。
先日、GCS認定プロフェッショナルコーチの2回目の更新手続きを行いました。
ふとコーチングを学び始めた頃の自分を思い出し、「見られ方」と「あり方」について改めて考える時間になりました。
この記事では、私自身の小さな気づきをたどりながら、「私はどうありたいのか?」という問いに触れてみたいと思います。
「どう見られているか」が気になっていた頃
コーチングを学び始めた当初は、今振り返ると、かなり「見られ方」を気にしていました。
クライアントから頼りがいのあるコーチに見えているだろうか。
講師や仲間から「よくできる受講生」だと思われているだろうか。
失敗したところはできれば見られたくないし、弱さも知られたくない。
表向きには「クライアントのために」と思っているのですが、その内側では「自分がどう評価されるか」にエネルギーを使っていた自分がいたように思います。
相手のためにがんばっているつもりなのに、実は自分の評価が気になってしまう。
そんな、少しややこしい心の状態と、しばらくのあいだ付き合っていました。
心の奥から立ち上がった「私はどうありたいのか」という問い
そんなあるとき、ふと心の奥から言葉が浮かんできました。
「私は、何者でありたいんだろう?」「本当は、どんなコーチでいたいんだろう?」
その問いが浮かんだ瞬間、「どう見られているか」という視点よりも、こちらの方がずっと深いところで自分に響いているのを感じました。
「どう見られたいか」は、他者の評価や世の中の期待を基準にした姿です。
上司や家族、同僚、SNSの反応など、そうしたものは状況や環境によっていくらでも変わっていきます。
一方で、「どうありたいか」は、自分の価値観や信念に根ざした選択です。
たとえ誰からも褒められなかったとしても、「それでも私は、このあり方を大切にしたい」と自分で胸を張れるかどうか。
その違いに気づいたとき、「私は、ずいぶん『どう見られたいか』に振り回されてきたのかもしれない」と、少し苦笑いしたのを覚えています。
クライアントとの関係性の中で浮かび上がる「あり方」
「あり方」というテーマは、とりわけクライアントとの関係性の中で、くっきりと浮かび上がります。
クライアントが迷っているとき、苦しんでいるとき、感情が大きく揺れているとき。
そのそばにいるコーチの内側にも、さまざまな声が生まれます。
「ここは正しく対応しなければ」「頼れるコーチだと思われたい」
その背景にはもちろん、「役に立ちたい」「支えになりたい」という思いがあります。
けれども、その裏側に「失敗したくない」「がっかりされたくない」という、評価を気にする気持ちがひそんでいることもあります。
そんなとき、私はそっと自分に問いかけるようにしています。
「私は、今、この人の前で、どうありたいんだろう?」
正しい答えを提示する人でありたいのか。
一緒に問い続けるパートナーでありたいのか。
安心して何でも話してもらえる場をつくる人でありたいのか。
クライアントの可能性を信じ、その人の力を信じる存在でありたいのか。
「どう見られるか」ではなく「どうありたいか」に立ち返ることで、その瞬間に選ぶ言葉や態度が、少しずつ変わっていきます。
そして、その見えない土台こそが、コーチングスキルを支える「自己基盤」なのだと感じています。
コーチングは「同じ高さで並んで歩く」ための対話
ICF(国際コーチング連盟)は、コーチングを「クライアントとのパートナー関係」と定義しています。
コーチが上で、クライアントが下。
教える人と教えられる人。
そうした上下関係ではなく、同じ高さで、同じ方向を見ながら並んで歩く関係です。
そこでは、「完璧な答えを持っていること」よりも、「この人の前で、自分はどう在ろうとしているのか」という誠実さのほうが、ずっと大切になってきます。
コーチだからといって、いつも理想的な対応ができるわけではありませんし、常に揺るがずにいられるわけでもありません。
それでも、「どうありたいか」を何度も選び直そうとする姿勢そのものが、クライアントに安心感や信頼感として伝わっていくのだと思います。
クライアントもまた「どう見られたいか」に悩んでいる
コーチングの場に来られるクライアントも、多くの場合、「どう見られているか」に悩んでいます。
仕事で期待される役割、家族からの期待、周囲との比較。
「ちゃんとしなきゃ」「もっとがんばらなきゃ」という思いが強い方ほど、自分の本音や願いが後回しになっていきます。
そうした状況のなかで、本当の気持ちや「ありたい自分」が分からなくなってしまうことも少なくありません。
そんなとき、対話の中で、そっとお聞きすることがあります。
「あなたは、本当は、どうありたいと思っていますか?」
この問いは、クライアントのための問いであると同時に、コーチである私自身にも返ってくる問いでもあります。
「私は、どんなコーチでありたいのだろう」「どんなまなざしで、この人の話を聴き続けたいのだろう」
コーチングの場は、クライアントだけでなく、コーチのあり方もそっと映し出してくれる鏡のような存在なのかもしれません。
私が大切にしている「ありのままを尊重する」というあり方
私が特に大切にしているあり方のひとつに、「ありのままを尊重する」というものがあります。
クライアントの言葉を「良い・悪い」でジャッジするのではなく、そのときに出てきた感情や、まだ言葉になりきらない思いも含めて、「今ここにあるもの」をそのまま受け止めること。
それは、私自身もまた「ありのままの自分であっても、ここにいていい」と感じられる存在でありたい、という願いともつながっています。
スキルや資格、肩書きは、たしかにコーチとしての大切な一面です。
でも、クライアントにとって本当の安心と信頼を生み出しているのは、やはりコーチの在り方そのものなのだろう、と感じています。
「私は、どうありたいのか?」と問いかけてみる
もし今、日々の仕事や人間関係の中で、こんな感覚がどこかにあるとしたら──
「周りの期待に応えようとして、自分の気持ちを後回しにしてしまうことが多い」「どう見られるかが気になって、本音を言うのが少し怖い」「このままでいいのかなと、ときどき立ち止まりたくなる」
そんなときは、ほんの少しだけ時間をとって、自分にこう問いかけてみるのも良いかもしれません。
「私は、本当は、どうありたいんだろう?」
すぐに明確な答えが出なくても大丈夫です。
言葉にならないままの感覚を、心のどこかにそっと置いておくだけでも、日々の選択や人との関わり方が少しずつ変わっていくことがあります。
一人でじっくり考えてみるのも素敵ですし、誰かとの対話を通じて少しずつ輪郭が見えてくることもあります。
「ありたい自分」と向き合う、ささやかな一歩として
コーチングは、「ありたい自分」を確かめていくためのひとつの方法です。
銀座コーチングスクールでは、コーチングの雰囲気や学びの進め方を気軽に体験していただけるコーチング無料体験講座をご用意しています。
「ありたい自分」について、もう少し丁寧に向き合ってみたい・・。
自分や誰かとの対話を、今より少し大事にしてみたい・・な。
もし、そんな気持ちがどこかに芽生えていたら、コーチング無料体験講座に参加してみてくださいね。
今回のこのコラムが、あなたご自身の「あり方」に静かに目を向ける、ささやかなきっかけになればうれしく思います。