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ピグマリオン効果

「ピグマリオン効果」とは、「人は他者に期待されるほど意欲が引き出されて、成績が向上する」という状況を示す教育心理学の法則のひとつです。アメリカの教育心理学者ロバート・ローゼンタールが1963~64年にかけて行った実験によって「人は期待されたとおりの成果を出す傾向がある」という結論が導かれています。

この実験結果を受けて、元ハーバード・ビジネススクール教授のJ・スターリング・リビングストンが提唱したのが「ピグマリオン・マネジメント」。周囲の期待や働きかけが人間の行動に及ぼす影響力に着目し、企業の人材マネジメントにも活用できると考えました。ピグマリオン効果による動機づけについて、リビングストンが主張する基本的な考え方は次の通りです。

(1) マネジャーが部下に何を期待し、部下をどう扱うかによって、部下が挙げる業績と将来の昇進はほとんど決まってしまう
(2) 優れたマネジャーは、「業績を挙げ、目標を達成できる」という期待感を部下に抱かせる能力を持つ
(3) 無能なマネジャーは部下に(2)のような期待感を与えることができず、部下の生産性も上昇しない
(4) 部下は自分に期待されていることしか行おうとしない傾向が強い

成果を出す部下を育てるには、『どんな部下』でも「業績を挙げ、目標を達成できる」という期待感を『言葉』にして伝え、部下にその期待を抱かせる能力をもつことが必要になります。それが、このピグマリオン効果の実験でも実証されています。
「期待」は抱いているだけでは、成果につながらないことがあります。「言わなくてもわかるだろ」は(3)のマネージャーです。部下が期待を感じるように「言葉」にして伝えること。この能力を発揮できる人が、チームで成果を出せるマネージャーです。

参照:日本の人事部・用語解説キーワード集「ピグマリオン効果」(最終アクセス:2019/04/26)