コーチングの基本スキル−認める

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「認める」スキルを使って部下と接することで、部下の行なった良いことも悪いこともしっかりと受け止める、包容力のある上司になることができます。人は自分をしっかりと認めてくれる相手に対して信頼感を抱きます。そしてさらに、何でも話そうという気にもなります。

コーチングの基本スキル-認める

コーチングはコミュニケーションのスキルであり、言葉のテクニックと受け止められがちですが、「認める」スキルは、言葉を口に出す以前の気持ちや姿勢がベースとなります。まずは相手を「認める」ことができていなければ、コーチングは全く機能しません。


今回からは、コーチングの基本スキルを一つずつ解説していきます。まず最初は「認める」というスキルです。コーチングで言うところの「認める」とは、文字通り相手の存在や行動等を認めることで、相手のあるがままの状態を、事実としてそのまま受け止めることです。それに対する評価は行ないません。


例えば、あなたが家庭を持つ夫だとしましょう。ある日、奥さんが美容院に行き、髪をカットしてきたとします。その際、「髪をカットしてきたんだね」と伝えるのは、「認める」ことになります。美容院に行き、髪をカットした事実を、そのまま受け止めているわけです。ヘアスタイルが似合うかどうかは、言いません。それは「評価」にあたるからです。もちろん、似合うと誉めたければ誉めてもよいでしょう。


しかしそれ以前に、髪をカットしたこと自体、気づかない夫も多いのです。奥さんとしては、おおいに不満なはずです。自分の存在が認められていないと感じるからです。これでは信頼関係が強まるはずもなく、コーチングとは対極をなすコミュニケーションのあり方だと言えるでしょう。


会社の中で部下と接する際も、相手を「認める」ことを、まずはする必要があります。誉めることや叱ることは、その次の段階の話となります。相手のあるがままの状態を見て、それを相手に伝えることにより、「この人はしっかりと私を見てくれている」と感じてもらうことができるのです。そこに二人の間の安心感や信頼感が生まれます。


「認める」スキルを使って部下と接することで、部下の行なった良いことも悪いこともしっかりと受け止める、包容力のある上司になることができます。人は自分をしっかりと認めてくれる相手に対して信頼感を抱きます。そしてさらに、何でも話そうという気にもなります。コーチングの仕組みからすれば、何でも話せる雰囲気をつくり、実際にどんどん話させることで、様々なアイデアが浮かんだり、気づきが生まれたり、行動へのモチベーションが高まったりします。


逆に、自分を認めることをしない相手に対しては、心を閉ざすこととなるでしょう。髪をカットしたことに気づかない夫に対して、愛想を尽かす奥さんと同じことです。コミュニケーションがますます悪化していくことは、容易に想像できるでしょう。


この「認める」スキルを駆使するには、相手の存在そのものに敬意を払う姿勢が求められます。そこには、相手に対する信頼も含まれます。そして、心をニュートラルにして相手の存在や行動を受け入れる度量も必要でしょう。前回、コーチングをするには「自己基盤」が重要だと述べましたが、まさにそれが試されるスキルなのです。


では、具体的には、どのように「認める」ことをすればよいのでしょうか。まず、相手を「認める」際に、よく使われるフレーズがありますので、それらを使ってみることです。「うん、そうだね」「君はそう考えているんだね」「○○をしてくれたんだね」といった表現です。また、言葉以外でも、笑顔や頷きなどで相手を認めていることを伝えることができます。


相手と同じ言葉を繰り返すというのも、効果的に「認める」やり方です。「最近、ちょっと疲れ気味なんです」と部下が言ってきたとしたら、「最近、ちょっと疲れ気味なんだね」という具合です。このような場合、例えば「毎晩、夜遅くまで飲み歩いているんじゃないか?」とか「若いんだから、そんなことじゃだらしないぞ」といった対応がよくみられます。


信頼関係が既にどこまで出来ているかにもよりますが、部下としては、自分が受け入れられていないという気持ちを抱くことにもなりかねません。そこまでネガティブに受け止めないにしても、あまりプラスに働くことはないでしょう。しかし、「最近、ちょっと疲れ気味なんだね」と、同じ言葉を繰り返すことをしてみたらどうでしょうか。自分自身をしっかりと受け止めてもらえた感覚が生まれ、驚きの気持ちすら抱き、上司を見る目も変わることでしょう。


会話はキャッチボールに、よくたとえられます。相手が投げたボールはいったん、しっかりと受け止めることが必要なのです。その「しっかりと受け止める」行為こそが、「認める」なのです。受け止めることもそこそこに、場合によってはバットで打ち返してしまうような対応が続けば、部下は嫌気がさし、上司とのコミュニケーションを回避するようになることすらあります。


最初は少々わざとらしくなるかも知れませんが、部下からの言葉に対して、すぐに何らかの答えを言うのではなく、いったん、同じ言葉を繰り返してみるとよいでしょう。二人の間の雰囲気は、きっと従来とは変わった暖かいものとなるはずです。

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