『ランドルト環』をご存知ですか?

ランドルト環に見る、私たちの視点のクセ
「ランドルト環」という言葉をご存じでしょうか。
視力検査で使われる、あの「C」のような形をした記号のことです。
視力検査では、私たちは自然と「どこが欠けているか」を見ようとします。右が空いているのか、左が空いているのか、上なのか下なのか。欠けている部分を見つけることが、検査の目的だからです。
この見方は、日常の中にもよく表れます。
部下を見るときに、できていないところが気になる。
子どもを見るときに、足りない部分を直したくなる。
自分自身を振り返るときに、失敗や弱点ばかりが浮かんでくる。
まるでランドルト環を見るように、私たちは無意識のうちに「欠けているところ」を探しているのかもしれません。
人はつい、足りないところに目が向きやすいものです。
できていないこと、うまくいかなかったこと、まだ足りない知識や経験。仕事でも人間関係でも、自分や相手を見るときに、まず「欠けている部分」を探してしまうことがあります。
けれど、その見方だけで人と関わっていると、本当はすでに持っている力や可能性まで見えにくくなってしまいます。
コーチングで大切にしているのは、まさにその視点を少し変えることです。
コーチは、欠けていない部分にも目を向ける
もちろん、課題に気づくことは大切です。
できていないことを見ないふりする必要はありませんし、改善すべき点に向き合うことも成長には欠かせません。
けれど、コーチングでは、それだけで終わりません。
欠けている部分を見るのと同じくらい、あるいはそれ以上に、すでにある力や前向きな側面にも目を向けていきます。
「ここまで続けてこられた理由は何でしょう」
「これまでにうまくいった経験はありますか」
「今のあなたにすでにある強みは何だと思いますか」
こうした問いかけは、相手の中に眠っている力を思い出すきっかけになります。
人は、自分の可能性に気づいたとき、ただ反省するだけのときよりも、次の一歩を踏み出しやすくなるものです。
肯定的に見ることは、甘やかすことではない
「肯定的に見る」と聞くと、何でもよいと言って甘やかすことのように感じる人もいるかもしれません。
けれど、コーチングにおける肯定的な関わりは、現実から目をそらすことではありません。
うまくいかなかった出来事があるなら、それを事実として受け止める。
そのうえで、「そこから何を学べるか」「次に活かせる力は何か」を一緒に見つめていく。
否定から始めるのではなく、可能性から始める。
この違いが、相手の表情や行動に少しずつ変化を生み出します。
人は、責められると身構えます。
けれど、自分の中にある力を信じてもらえると、「もう少しやってみよう」と思えることがあります。
見方が変わると、関わり方も変わる
相手の欠点ばかりが気になると、言葉は自然と指摘や注意に傾きます。
反対に、相手の中にある力を見ようとすると、問いかけや承認の言葉が増えていきます。
「なぜできないのか」ではなく、「できた部分はどこか」。
「何が足りないのか」ではなく、「すでにあるものをどう活かせるか」。
この小さな視点の変化が、職場での1on1や部下育成、家族との会話をやわらかくしてくれます。
そして、その見方は相手に対してだけでなく、自分自身にも向けることができます。
できなかった自分を責める前に、そこまで取り組んだ自分、工夫した自分、もう一度考えようとしている自分にも目を向けてみる。そこから、次の行動につながる力が戻ってくることがあります。
可能性を見る力は、対話の中で育っていく
欠けている部分を見る習慣は、私たちの中に深く根づいています。
だからこそ、肯定的な側面に目を向ける力は、意識して育てていくことが大切です。
コーチングを学ぶと、相手の話を聴きながら、その人の強み、価値観、すでに持っている資源に目を向ける練習を重ねていきます。
すると、相手との関わり方だけでなく、自分自身の見方も少しずつ変わっていきます。
もし、部下や家族の可能性をもっと引き出したい、自分自身にも前向きな視点を向けられるようになりたいと感じているなら、コーチングに触れてみることはよいきっかけになります。
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欠けているところを探すだけではなく、すでにある力を見つける視点を、まずは対話の中で味わってみてください。
人や自分を見る視点が変わると、関わり方も、行動の生まれ方も変わっていきます。
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