身体感覚を通して見つける本当の選択、ソマティックとコーチング

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銀座コーチングスクール(GCS)広報チーム あかがわ みさこです。
 

私たちは日々、数えきれないほどの意思決定をしています。それは、今日のランチに何を食べるかといった些細なことから、転職やキャリアの方向性といった人生を左右する選択まで、多岐にわたります。
多くの人は「自分は理性的に考えて決めている」と思いがちですが、実際にはそうとは限りません。

神経科学者アントニオ・ダマシオが1990年代に提唱した「ソマティック・マーカー仮説」は、人の意思決定が頭での論理よりも先に身体感覚によって導かれていることを示しました。
ソマティックとは「身体的な」という意味で、ここでは心拍数の変化、手の汗、胸のざわつきといった「身体の反応」を指します。

この仮説を裏づける有名な研究が、1994年にアメリカ・アイオワ大学で行われた「アイオワ・ギャンブル課題」です。

参加者の前には4つの山札があり、そこからカードを引くと「お金を得る」「お金を失う」といった結果が返ってきます。
一見するとどの山札も同じように見えますが、実際には「最初は大きく得られても続けると必ず損をする山札」と「少しずつしか増えないけれど、結果的にはプラスになる山札」が混ざっていました。

実験を重ねると、参加者はカードの仕組みを頭で理解する前に、危険な山札に手を伸ばそうとするときにだけ手に汗をかいたり、心拍が速くなったりすることが分かりました。
つまり、理屈で「この山札は危ない」と認識、説明できるようになる前に、身体がすでに「これはやめた方がいい」とサインを出していたのです。

この発見から、私たちの意思決定は損得を冷静に計算して行うものではなく、身体の感覚や直感が大きな役割を果たしていることが明らかになりました。

これはコーチングにも大きなヒントを与えています。クライアントは時に「頭では分かっているのに動けない」「考えすぎて決められない」という状態に陥ることがあります。
そんな時、身体のサインに注目することが大きなヒントになることがあるのです。

例えば、転職先を考えている時「この会社で働く自分」を想像してみるとします。「胸がふっと軽くなる」なら前向きなサインかもしれませんし、「胃が重く感じる」なら無意識に不安を感じているのかもしれません。理屈ではまだ答えが出ていなくても、体は正直に反応するのです。こうした感覚は、言葉で説明する前に身体に表れる「本音のサイン」です。

また、「年収を上げたい」と口に出した瞬間、肩がグッと重くなることもあります。これは「本当は収入よりも、安定や家族との時間を大切にしたい」などという、まだ言葉になっていない価値観が潜んでいるのかもしれません。

さらに、「やらなきゃいけないのに、なかなか行動に移せない」という時、その行動を頭で思い浮かべるだけで、喉が詰まる感じや手足が動きにくくなる感じに気づくことがあります。そこには実は「失敗したくない」という感情が隠れているのかもしれません。そうした気づきがきっかけとなり、コーチングの焦点はより明確になるのです。

コーチングにおいて身体感覚に耳を傾けることは、クライアントが自分らしい選択を見つけるための強力な手段になります。
そして、コーチが安心できる場で身体のサインに意識を向け、言葉と感覚をつなげるサポートをすることで、クライアントは自分ひとりでは気づけなかった本音や価値観に出会うことができるのです。

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