組織・人事関連用語:ラ行

レヴィンの組織変革プロセス

企業が時代の変化を捉えて成長するためには、時に、既存の組織文化を破壊し新しい組織文化を構築することも必要です。
しかし、大胆な組織変革には社内の混乱を招き収拾がつかなくなるリスクも付きまといます。こうしたリスクを回避するために、
一定のプロセスに則って変革を進めることが重要とも言われています。

具体的にどのようなプロセスが必要となるのか、今回は、社会心理学者クルト・レヴィンが提唱した3段階
(解凍→変革→再凍結)の組織変革プロセスでご紹介します。

■ステップ1:解凍■
組織を変革するために、レヴィンはまず「今までの組織文化が通用しない」「変えていかなければ会社の経営状態に
悪影響を及ぼす」といった現状認識と危機感を社内で共有した上で、「新しい考え方、やり方によって改善していく」と
いった雰囲気を醸成することを提唱しました。

既存の価値観や伝統、方法論などの組織文化を「解凍」し、新たな組織文化への変化に向けての準備を行うということです。

ここで注意するべきとしているのは、こうした変革の「推進力」に対して、現状を維持しようとする「抑止力」が
必ず働くということです。今までの価値観を変えるといった変化の「推進力」が大きければ大きいほど、組織内に
不安が広がり、その「抑止力」も大きくなります。このため、経営者は、社員に変化の必要性を理解させると同時に、
その変化に対する不安を和らげながら変革を進めてなければならない、とレヴィンは語っています。

■ステップ2:変革■
ステップ1の「解凍」によって変革の必要性などが社内で共有されても、それが認識や議論だけで終わってしまっては
「結局何も変わらなかった」といった無力感により、却って企業の成長を阻害してしまう危険性があります。そのため、
「解凍」の状況を見極めつつ、早めに次のプロセスに移行する必要がある、とレヴィンは捉えました。

ステップ2は、新しい考え方、やり方を「学習する」プロセスです。変革の必要性に対し社員個々がどのような役割を
果たすのか、果たしていくべきなのかを、社内学習や人材育成プログラムなどにより学習することで、組織内の考え方や
行動が少しずつ変わっていくことを想定していると思われます。

■ステップ3:再凍結■
さらにレヴィンは、ステップ2で学習したものを長期間維持するため、「再凍結」として今度は定着化・慣習化させることを
主張しました。新しいやり方を単に継続していくことで根付く部分もありますが、指示されたからやるのではなく、新しい
やり方で成功事例が出てくることで、手応えを感じることが重要である、というものです。

それにより従業員が納得して行動するため、成功事例が増え、「成功の方程式」が見えてくる、というものです。後は、
「成功の方程式」を組織内に広め定着させ、新たな組織文化を定着させる、としています。