Coach Interview - 土屋 佳瑞 コーチ（前編）富山校講師

　古い社風の会社で勤続25年。退社が一つの転機になり、あらゆるところでコーチングを活かせることを感じているという土屋佳瑞さんに、強みを活かした仕事の豊かさをうかがいました。
（聞き手：山上 晴美コーチ）

ーー 土屋さんは富山校の講師の他に、経営者や企業の研修をしたり、整理収納アドバイザーの資格もお持ちだそうですが、コーチングを始められたきっかけはどんなことでしょうか。

　現在は中小企業さんに研修やコーチングを中心とした人材育成に、組織開発を（こちらはこの3年くらい勉強しながらですが）やらせていただいています。コーチングは2009年にGCSで学びました。新卒で入った会社では、チームワークや女性の働き方にテーマを感じていました。今ではあり得ないですが、当時は「女性は結婚したら辞めてね」っていう会社の空気があって、結婚と同時に一旦嘱託扱いになりつつ継続勤務をしていたり、正社員に戻った後は育児休業を第一号でとって他県に子連れ転勤をしたりといろいろなドラマがありました。当時は独立など想像したこともなく、会社員として働くことに一生懸命がんばっていました。

　ところがあるとき、以前に長くいた部署に急遽異動となったのです。そこは女性が30人くらいいるのですが、導入されたばかりの新しいシステムは中途入社や異動したばかりのメンバーでひたすら頑張ってなんとか取り組んでいましたが、業務の仕組みができていませんでした。そこに改善を期待されて異動したのですが、とにかく業務量が多い上に、違う価値観を持つメンバーもいて、チームのコミュニケーションがうまく行っていなくて、なんとかしなければとひどく思い悩む日が続きました。

　そうしているときに、日本コーチ協会の日本海チャプターで中村慎一コーチが勉強会をしていたのを知って参加しました。GCSとの出会いはそれがきっかけでしたが、その２、３年前に勝間和代さんのサイトでコーチングというものがあるのを初めて知りました。 そこは会員制のサイトで、経営者やドクターや、パートでスーパーのレジしている方など、いろいろな職業のワーキングマザーが仕事と女性をテーマに様々な課題への取り組みをネット上でディスカッションしていました。コーチングを知ってから本を読んだり通信教育で学んだりしましたけど、でもやっぱり体験しないとわからないのでチャプターに行ってみたんです。そのときは会社で居場所がないくらいにつらい状態だったんですが、チャプターのワークショップに参加すると次の日は元気に会社行ってもいいなって思えてきて。自分の相談をするわけではないですが、いろいろな方と話したりするのが楽しかったです。否定されずに話を聴いてもらえてまさにコーチング。相手の方の対応も素晴らしかったと思いまが、すごく応援してもらってる感じがしました。こういうことで人って力が自然にわきあがるんだ。この構造をちゃんと学んだら変わるんじゃないかなって。それで２００９年にGCSでコーチングを学んで２０１０年に認定コーチになりました。

　その間に会社の課題は自分なりにある程度改善をしていました。コーチングが使えると思ったのは、実際に日常の仕事での、チームのメンバーとの関わりでです。
　データチェックで、担当メンバーの入力ミスを見つけて指摘したら、「これわかりにくいんですよね」って。今までは「わかりにくいならわかるように教えてあげよう」ってやってましたけど、「あ、ここだ！認める」からやればいいんだって。「わかりにくいんだね。どんなところが？」って聴いたら、向こうがどんどん話してきて、「じゃあ○○ちゃんは、どうなっていたらわかりやすい？？」「それ、どうしたらいいと思う？」「営業から来た時点で仕分けできるようなものを作ってみます」って。彼女は仕分けのクリップをイラスト入れて作ったんです。イラストが得意だって知らなかったんですけど可愛いいのを作ってくれたんです。以前の私だったら、仕事中にイラスト...ってなってたんですが、すごく楽しそうにやってるから任せました。そうしたらそこからミスがなくなって関係性もすごくよくなったんです。コーチングっていわゆる管理職が使うものだと思ってたんですが、こんなふうに普通に使えるんだってそのときに感じました。何かあったとき、コーチだったらどう考えるんだろうってちょっと思うと選択肢が増えたり俯瞰して見れたり、ずいぶんと在り方が変わりました。