Coach Interview - 陰山加奈 コーチ（前編）京都校講師

　ピアノの先生として長く活動している陰山さんは、レッスンに活かすために始めたコーチングで生徒の驚きの変化を実感。自分自身も以前は考えられなかったようなチャレンジを始めたそうです。
（聞き手：山上 晴美コーチ）

ーー現在の活動を教えてください。

　京都校の講師をしていますが、短大を卒業してからずっとピアノの先生をしています。コーチングとの出会いもピアノ教室でコーチングを活かしたいと思ったのがきっかけです。

ーー ピアノのレッスンでコーチングを活かすというのは、どんなふうに使おうと思ったのですか？

　コーチングを学ぶ前までは、学歴コンプレックスがあってピアノの先生も短大卒よりも四年制大学を卒業している人の方が上ではないかって。プロフィールを書いていても、有名な大学でもないし有名な先生でもないっていう思いが強かったので、何かで教室に特色を持たせたいと思ったんです。周りにもあまりいなかったですし。コーチングは相手の持っているもの引き出すらしいし、それなら生徒のやる気を引き出せるかもしれない。そうなれば教える方も楽じゃないっていうちょっと安易な気持ちでした。

ーー それまではコーチングのことはご存知だったのでしょうか。

　コーチングを学び出してから思い出したんですけれども、ずいぶん前にピアノの業界では『コーチングピアノレッスン』という書籍が出ていて、前に買って読んでいたんですね。 それが深層心理にはあったかもしれないけれど全く覚えてなかったのです。どちらかというとSNS で繋がった方がコーチングのことを書いていて、「あれができた。これができた」とか、「こういうことを達成した」とかそういう投稿が多くて、この人たちは進むのがとても早いんだという印象がありました。

ーー レッスンにコーチングを取り入れるというのは、どんなことをしてどんな変化が起きるのですか。

　会話の内容に取り入れています。ほとんどクラスAの復習のような会話なんです。それまでとは全然違います。そうしたら小学校1年生の生徒が家で自ら練習していたという。それに本当にびっくりしたのです。

ーー 小学校１年生が家で練習するというのはめずらしいことなのですか。

　そのくらいの年齢の生徒って親ありきだと思います。親がついているから練習するとか。それが自分からですから、すごいと思いました。ピアノの指導法ではなくて会話の内容を変えただけだったんです。

ーー その生徒さんが自発的に練習する気になったのは何が起きたからなのでしょうか。

　親御さんが信頼していたということもあると思いますが、昔だったらレッスンで一回弾いてもらって「ここダメだからもう1回」とかダメ出ししながらやっていました。コーチングを学んでからはダメ出しをしないで「もう一回弾いてみよう」って。そうしたらその子が急に「あ、今ここが気になった」って言い出して。そういうところがすごいなと思いました。

ーー すごいですね。ピアノ以外のことでもそうですけれども、先生に教わるということは、先生の言うことを聴いてその通りにすればいいっていう、どこかに依存する気持ちが出てくるのかもしれませんね。そこから一歩出て、自分でも考えようってなったのですかね。

　そう。それです。小学校1年生でも自分で考えるっていうことにびっくりしました。そうなると私もうれしいので、じゃあ次はどうやって弾こうかって。

ーー いい話ですね。他には何かありますか。

　あとは、面談日を設けていて、コーチングセッションをメインにして年間目標を決めるというのをやっています。自分で目標を決めてワクワクしながら向かっていくんです。姉妹で通ってくれている子がいて、それを面白いと思ってくれたようで、レッスンの時に練習をしない妹に「何々ちゃん、家に帰ってどんなタイミングだったら弾けそう？」って聞いていたら、お姉ちゃんの方が私の真似をして質問をしたりするんです。

ーー 小学生がそういう質問を面白いと感じているんですね。ピアノのレッスン以外のことではいかがですか。

　この3月から話し方講座を始めました。講師養成講座を受けている頃は歌の方のボイストレーナーをしていました。ゴスペルも習っていたんですけれどもその発表会などで私は司会を頼まれてやっていたんですが、それを見た MCを派遣する会社の社長が司会業に興味があったらと声をかけてくれました。

　そんなことをしているうちに周りから声を褒められるようになって、マスク生活になってからはマスクをして喋っているんだけれども、「今日も笑顔で喋ってたよね。いい笑顔してるよね」って言ってくれる人がいて、「私マスクしてますけど」って。最初は目が笑ってたのかなと思ったんですけれども。どうやら声が笑顔を感じさせるらしいと気がついたんです。

　そうしてあるとき、コーチングクラスで借りていた会場で「話し方教室」のチラシを見つけて、それに書いてあることが「これ私にもできる」って思えることだったんです。
それで周りの方に、興味があれば来てくださいって声をかけたら手を上げてくれる人が何かいたんですね。それが今に繋がっています。
基本的には発声講座なので、腹式呼吸や口の周りの筋肉をほぐすこととか、ある程度滑舌が良くなるプログラムにして、聴きやすい言葉で美しい日本語になるようなコツを伝えています。