Coach Interview - 大石 典史 コーチ（後編）丸の内校代表

　丸の内校の代表として多くの受講生を受け容れている大石さんに、その人気の理由をうかがいました。コーチングと出会って自己基盤の重要性に気づき、それがクラス運営の仕方にもつながっているという、あたりまえのようでいて忘れがちな大切なことを聞かせてもらいました。
（聞き手：山上 晴美コーチ）

ーー かつての会社で上司との関係がよくなかったのは自己基盤に関係していたとのことですが、さらに、大石さんがコーチングと出会って変わったり成長を感じたりしたことがあったらお聞かせください。

　コミュニケーションのレベル自体はあまり変わっていないと思います。もちろん、スキルを身につけたことで以前より相手の話を聴けるようになったと思います。でも、その変化よりもやはり自己基盤が強化されたことかなと。自分に自信があるから相手に対しても寛容になれるといいますか。多分、コーチングを学び始めた10年前よりも圧倒的に笑顔が増えていると思います。その頃を知っている人が見たら驚くんじゃないですか（笑）。いわゆる"陽"のオーラが出ているのかもしれませんね。

ーー 笑顔は大事ですね。言葉に出さなくても、表情で相手やその場の空気を感じるというか。

　コーチとか講師とかリーダーは、相手に影響を与える存在じゃないですか。その人の立ち居振る舞いとか言動とかが相手に影響を与えますね。それで「自分が楽しんでいれば周囲にも伝わる」ということに気づいたのです。私の立ち位置は、周囲に影響を与えるものであるということを常に意識していますね。

ーー 今、GCSでは、コーチングを通して社会改革をとうたっていますが、大石さんがこれからしていきたいことがありましたら。

　私はいわゆる"ビジョン型"ではないので、私自身が「こうしたい」というのは特にないですね。ですが、がんばってアピールしなくても、背中で語れるコーチが増えるといいなと思います。今は情報化社会なので、アピールした者勝ちみたいなところがあります。いろいろなやり方があり、それを否定しているわけではないのですが、いわゆる「本物」と呼ばれるコーチがもっと増えてほしいなと思います。

ーービジョン型ではないということは、さっきお話しされていた「プロセスが大事」ということですね。

　目の前のことをコツコツやるタイプですね。今までの仕事もお誘いがあったからやらせていただくというのが多いですね。目の前のことをきちんとやることが信頼に繋がり、それが仕事に繋がる、これは経験的にすごく大事なことだと思っています。例えば、約束を守るとか納期を守るとか人の悪口を言わないとか、あたりまえのことであり地味なことですが、そういう積み重ねがその人の人間性を創っていくし、その人の評価に繋がるんじゃないかなと思います。

ーー そういう感覚を得たのはいつ頃からでしょうか。前から持っていたのでしょうか。

　いえいえ、最近ですね。丸の内校をやるようになってからですかね。多くの受講生が来てくださるのは、これまで3年間、プロセスを重視した取り組みをしてきた結果であるという自負があるから、自分の中では確信を持てるようになりました。

ーー 最後にこれからコーチングを活かしていこうと決意した方や、今道半ばにいる方々へメッセージをいただけますか。

　自分がそうであったように、コーチとして稼ぐようになるには時間がかかるということですね。コーチはいわゆる"狩猟型"ではなく"農耕型"でないといけないと思っています。それは、相手との関係性づくりもクライアント獲得方法についてもです。私もそうだったからわかりますが、コーチになったらすぐにクライアントを獲得しないといけないとか、講師になったらすぐに独立して稼がないといけないとかいう思い込みがあるかもしれません。ですが、現在大活躍している諸先輩たちも最初はみんな下積みをしているわけです。もし独り立ちするなら、5年くらいのスパンをかけて起業するくらいの感じで考えておいた方が良いと思います。焦らないことと継続が大事ですね。でも好きだったら、きっとできますよね。

ーー きらめずに継続する。"農耕型"とおっしゃるように、自分のコーチングを育てる感じですね。共感するお話がたくさん聞けました。ありがとうございました。