Coach Interview - たかつち あやこ コーチ（後編）八重洲校講師

　保育士の経験から子育てには自信があったたかつちさんが遭遇した、思いがけない自分の子どもとの関係。身を以て体験したことから多くの気づきを得て、自分とも人とも関係が格段に変化したそうです。
（聞き手：山上 晴美コーチ）

ーーこれまでの過程を経てご自分の内面にはどんな変化を感じますか。

　コーチングを学んだことで、後回しになっていた自分自身の取扱説明書が増えた感じです。自分は何を大切にしてどんなことをしていきたいのかを知っていくと、相手への理解も深まる。自分を知ることで相手のことも深く見られるようになったことです。色眼鏡で見なくなりましたね。

ーー 人それぞれの違いを認めるということですか。

　そうです。人それぞれって頭ではわかっていても心では拒否していたみたいです。それに気づいたことが大きな変化です。それまでは育児をしていても、やってもやってもまだ足りないような満たされない思いがありました。それは育児だけじゃなくて勉強でも仕事でもなかなかOKを出せなかったんです。まだできるんじゃないかとか、あの時こうしていればもっと違っていたのにとか。やってもやってもきりがない。だから苦しかったです。
　自己基盤ということを知って実践していくうちに、人との距離を知ったり人と比べなくてすむ自分がいたり、自分も人もそのままでいいよねって言えるようになりました。

ーーうかがっていると、たかつちさんは真面目で努力家というように感じます。

　完璧主義者でしたね。成功しか許されない（笑）。育った環境がそういう文化だったのかもしれません。小中高時代も「できたね」というより、「もっと上を目指しなさい」と。個性を大事にされなくて「みんながこうだからできるでしょう」って。目標がすごく高くてできない自分はダメ。もっともっとって上を目指していたのだと思います。それをいつのまにか、自分の子どもにも求めていました。その頃を思うと、今と気分がまったく違っていて、人との関係だけでなく親に対してもすごく楽になりました。いろんな重荷がとれて、前の前にいる人を大切にしようと思えるようになりました。

ーーご両親とのことも楽になったのですね。

　親は束縛が多くて厳しかったですね。受験のときも「どこに行きたいの」よりも「ここがいいんじゃない？」とか口を出して来ましたし。片付けも成績も厳しく言われました。ですから反抗して10年くらい口をきかなかったこともあります。そうなりたくないと思っていたのに、自分の子どもにそれをしていたんです。でも、自己基盤が調ってきたら、目の前にいるのは父や母であるし、構えることがなくなっていました。何か言われても萎縮することも反発することもなく受けとめられるようになって、親との関係もとても良好になりました。

ーー よかったですね。今力を入れていることは何かありますか。

　ICFの取得です。次のステップとして、自分の子どもだけじゃなくていろいろな人の応援をしていけたらいいなと思います。軸の部分がすごく大切だと思うので、子育て以外のキャリアなどについてもサポートできればと思います。

ーー もし、目の前に子育てに悩んでいるお母さんが現れたらどんなことをお伝えしますか。

　お母さんが学ぶことでお母さんも子どもも笑顔になっていきます。その行動する一歩を踏み出してしていくことが大事だって伝えたいです。一歩進めばその度に笑顔が増えます。頭の中で考えてるだけでは何も解決できないですから。誰かにまず話してもいいですし。今、虐待やネグレクトの問題もあるので、お母さんたちへ手助けができたら、子どもたちの未来も明るくなると思います。

ーー 本当ですね。悩めるお母さんたちが光を見つけられますように。お話ありがとうございました。