Coach Interview -藤川 美紀 コーチ（後編）

行政書士として独立しながらも、本当にやりたいことなのかと思うようになり、コーチングセッションを初めて受けたという藤川美紀さん。衝撃的だったその結末と自分自身の変化についてお話をうかがいました。 （聞き手：山上 晴美コーチ）

−個人セッションや講師の他にこれからやっていきたいことはありますか？

　子育ての場面やパートナーシップのテーマなどでも伝えていきたいと思います。
　私の場合、どちらかというと子育てより夫婦関係が一番大きかったです。お恥ずかしい話ですが、自分が正しいという気持ちが強くて、話し合いの場でも、絶対に自分の正しさを証明しようとしていました。人の話を聴いているようで聴いていない。いかに相手を論破するかということだけ。そういう人でした。だから常にイライラしていまして、そこのところは別人になったと思います。当時の旦那さんはよく耐えてくれていたと思います。

−そうでしたか。ご主人から以前とは変わったというフィードバックなどはありますか？

　それが、離婚をしていまして、コーチングを学ぶ前と後では相手が違うのです。なので、いろいろ学習しました。おかげさまで今の主人とは良好な関係ですし、一旦相手の話を聴こうと思えるようになったので自分自身も楽になりました。

−楽になる気持ちわかります。コーチングを知って、納得のいく目標を立てられて仕事が変わり、個人としてはご主人との関係など、対人の部分に影響があったということですが、それはご自分の中にどんな変化があったからだと思いますか。

　自己基盤の変化です。最初にそのことを聴いた時に、自分は自己基盤がグラグラだと思っていました。本当に自信がなかったし、常に人と比較して落ち込む。でもそれが元々の自分だから、ある種諦めというかそれが普通だと思って生きてきました。クラスで「自己基盤も強化していきます」という説明を聴いて、自己開示したりして自分の話をしなくてはいけないのかと、最初はすごく不安でした。でも受講仲間も先生もきちんと認めるということをしてくれて聴いてくれる。そういう体験はあまりなかったので、すごく安心して自分のことを話せるようになりました。最後の方は、もっと話したいと思えるくらいでした。
　そして気づいたら、自己基盤グラグラと思っていた時よりは少ししっかりしてきて、自分への信頼というか、健全な自信が持てるようになったと思います。
　私は、コーチングを受けるのと学ぶということをほとんど同時並行で行ってきたので、受けて１、2年の自分の内面の変化がすごかったです。人生が変わったと思えるほどでした。とにかく以前の自分は、いかに人に評価されるかとか、どんな自分ならすごいと言ってもらえるかとか、それだけて生きてきたような感じです。しかもそのことにも気づきもしなかったのです。でも、受けて、学んで、自分は何が好きで何が嫌いで、何に興味があって、何をしたくて何をしたくないということがはっきりしてきて、さらにそれを認められるようにもなりました。これでいいのだと思えるようになりました。それが私の一番の変化です。そうなったら安心して穏やかでいられるようになりました。

−安心して穏やかでいられるというのは、とても幸せな状態ですね。これから講師としてコーチングを伝えていくのですが、どんな方に一番伝えたいですか。

　そうですね。やはり昔の自分のように、そこそこでいいって諦めていないで、もっといける、もっと自分の人生を生きることができるっていうことを伝えていきたいです。

−コーチングを勉強中の後輩に一歩先を行く先輩として、上達する秘訣などありましたら教えてください。

　上達するためには練習することですが、個別のスキルは日常のどこにでも使えます。私の場合はスキルを身につけてセッションをしたいと思って始めたのですが、日常での使い方が変わってくると人間関係が変わると思うし、それこそ自己基盤が強化されていくと思います。
　以前の私は、人間関係が希薄だったと思います。表面的で薄っぺらい関係しか築けなかった。コーチングを学んだあとはそう思わなくなりました。自分のことを理解できるようになった分、相手のことも理解できるようになったのです。深いところで共感できるようになりました。人間関係が良くなれば、人生が変わります。
　そのことで、当時は感じられなかった納得感や充足感が生まれて、今では人とのつながりを感じられるようになりました。満たされ度合いがとても変わりました。

−それはよかったです。では最後に、コーチングを仕事に選んで良かったとつくづく思えるのはどんな時かお聞かせください。

　自己承認というのは、自分のできてないところも含めて認めることだと思いますが、世間的に優秀と言われたり、いい会社に勤めて活躍していたりする人ほど自分に手厳しいように思います。
　そういう方がコーチングを受けて、自分のどんな面も認められるようになって、「もっと早くコーチングに出会いたかった。自分を認めることをどうして学校では教えてくれないのか」などと言ってもらえた時にとても共感しますし、それがとても嬉しいです。

本当に、自分を認めるということを誰からも教わらずに我々は大人になりますね。これからクラス講師の活動も始まって、藤川さんのコーチングの世界がますます広がりそうで楽しみです。今日はありがとうございました。