Coach Interview - 高安 成帆 コーチ(後編)

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不可抗力の出来事から学んだこと

 長く講師として活躍している高安成帆先生に、コーチングを仕事にすると決意した出来事。その後の人生に大きな影響を与えられたという病気のこと。2つの出来事がいったいどんな変化をもたらしたのかをうかがいました。
(聞き手:山上 晴美コーチ)

インタビュー

いいと思うことを伝えていく喜びの連鎖

ーー ハクビでの講師から始まって、20年近くGCSを見て来てどんなことを感じていますか?

 講師の立場で言っちゃいけないかもしれないけど、たくさんのことを学ばせていただきました。教えることが何より学びになるし、受講生も講師同士もいろんな方と出会わせていただいて。最初は食べていかなければいけないってところから始まりましたけど、言い方がおかしいかもしれないけど、こんなに美味しい仕事させてもらっていいのかなって。自分がいいと思っていることを伝えられる喜びです。私には「伝えるっていう価値観」があって、伝えながらも仕事にさせてもらって、伝えた人が講師になってまた次の人に伝えていくっていく連鎖をするわけですが、それがすごくうれしくて。大学卒業して10年弱メーカーの宣伝部で働いて、それはそれで勉強になりましたけど、フリーのライターして一旦専業主婦になってコーチ業だから、いろいろな業界を知ってるわけではないんですね。でもコーチングクラスには本当にいろいろな業界の方が学びに来てくださっています。その方達の話を聴いて学ばせていただきながら幸せだなと思ってます。その先の連鎖をつなげるってことがうれしいです。たとえばものを買ってうれしいって、その人の喜びのエネルギーはあふれるかもしれないけれど、そこで止まってしまう気がするんです。コーチングはその先に関わる人まで届くから連鎖の循環を生み続けることができる。そのスタート地点にいることがすごく幸せだなって今思ってます。だから「あなたを満たすことであり、次にいる人を満たすことであることを忘れないでバトンを渡していってね。」っていう気持ちでいます。

ーー クラスでは明るくて元気な高安先生と映っていましたが、ご自分の強みはどんなところだと思いますか。

 叩き上げなので、ものすごい理論値があるわけじゃないんですよね。コーチング理論はもちろん入っていて、リーダーシップなんかも学んだりしていますが、どちらかというとインよりアウトで学ぶことが多くて実践派です。本を読むのも嫌いじゃないですけど、入れたものを出した瞬間に学ぶんです。だからいろいろなことが起きちゃうんでしょうね。それでがんばり過ぎたあげく乳がんになった。でも、そこも実践なんです。起きたことでそれを変えていくっていうアウトの仕方っていうかな。元主人のことも病気のこともそうだし、仕事をしていかなければいけないことも含め、何か学んでから動くんじゃなくて動きながら学ぶことなんですね。その私の体験談こそが強みだと思うんです。こういう理論知ってますかって言うより、こういうふうに動いたことあります?ってその方が私の中で説得力がある。元主人が事件を起こして、そのときコーチングを学び始めたわけだから、私が支援したいのはやっぱり女性なんです。パートナーが勝手に起こしたことで勝手に加害者扱いされる被害者の女性たち。そういう人たちを救いたいと思ったけど、子どもがいるからその出来事がなかなか言えないんです。父親のそういう話もできないけど、いっそのこと表に出してそういう人を救いたいっていうジレンマもありました。

 私のように辛い思いをしている奥さんたち。あともう一つは戦い続けて来たので起きてしまった病気。だから「hers」でライターとして希望を与えられている役割をまっとうしているときは幸せでした。それをコーチングでも支援できたら。どこまで乳がん患者って言っていいのかって、葛藤はやはりありますが、コーチングスキルを使いながらその方自身が人生を考え、生きるお手伝いができたらいいかなって。それで「Who are you?」っていうセミナーで地方を回ってるんです。私のいろんな体験をお話させてもらったり、考え方を伝えたり。だから全面的に押し出すよりもそういう機会を得てそこで体験談を話す機会をもちながらもう少しパーソナルに。すごくデリケートなことですから。病気のことも事件のことも。

ーー 病気になるのは自分を責めてるからという人がいるけれど、そうだったのでしょうか?

 私は自分を責めなかったし、戦うのをやめた方がいいって気づいたから。そこをバカみたいにある1人の主治医を信じて、彼が言うことを信じて。彼を信じているようで彼という人を通して、「おまかせ」してたんです。もうそこは生きてるって思ったらダメなんだと思います。本当に生かされているだけ。自分の力で生きているっていう奢りを捨てられるか。生かされてるだけなんだってことに気づく。病気になって手術をするまで時間があいちゃって、転移もしてたし5年生きられる可能性が50%だったんです。やっぱりいろいろと向き合って内観と内省との時間でした。ふっと気づいた。ヤバい、私、自分の力だけで生きてるって思ってた。命は操作できないって、法律のときと同様不可抗力のものから学ばされっぱなしです。生かされてるだけだって気づいたところから力が抜けたかな。なぜそうなったかは分析できないんですが。もしかしたら、あらゆることへの感謝が足りなかったのかもしれないと今なら感じられます。「自分の意思を捨てる」ってことかな。

ーー 意思っていうのは欲とも言えますか?

 生きたいというのは欲だから仕方ないことですけど、生かされたいって欲ならいいかな。生きたいってこちら側からの意図。それを横に置けるかどうかかな。

ーー すごいことに気づかれたんですね。

 うーん。奢らないことだと思います。私もどうなるかわからないけど今年で9年目。だけど大丈夫なような気がする。それはどうしてかなと思うんだけど。生きる力を自分が持ちすぎるんじゃなくて、生かされようとするかどうかです。自分の意図なんて知れてます。すごく漠然としたことだから伝えづらいんですけどね。

インタビュー

ドアのノックの意味に気づく

ーー がんになったことが、今の高安さんの在り方に影響を与えたんですね。ふだんの変化はどんなことなのでしょうか。

 前は絶対に弱みを見せちゃいけないって。でも病気になって変わりました。それまでは子どもを守るために歯を食いしばってたし、子どもが不安になるから涙を見せなかった。だから気持ちに蓋をしながら、とにかく私の役割をこなす。何があっても絶対に成功してやるって。と言いながらやることゆるいんですけど。

 病気からがんばり過ぎるなってメッセージをもらったんです。元主人のことでコーチングと出会い、今は病気になったことで大感謝。前の私を覚えてないくらい変わりました。前はもっとエゴイスティックというか、いい意味ではなく何も考えてなかった。今はいい意味で何も考えてないです。コーチングと出会って自己理解が深くできるようになって、だから「気づきカフェ」とかやってるんですけど。本当に答えは外にはないんですよね。自己理解する前の私は何もわかってなかったんです。何を大事にしているとか、どういう人と会うと心が揺さぶられるかとか。どんな役割を担っているかとか、そんなこと関心もなかったし、考えてもいなかった。でも、出来事は自分に気づくためにあるんだと思うんです。だから元主人が起こしたことは、気づくために起きたことだったんです。でもそこでの自己理解が浅かったから、病気で二回目の気づきのドアがノックされたんですね。

ーー 何かトラブルに遭遇してもそれが自分へのノックとは気がつかないってことなんですね。

 そうそう。どうしようどうしたらいいって、それが外に答えを求めるってことじゃないですか。何が私をショックと思わせるんだろう。私は誰といたかったんだろって。でも一回気づくともう一回気づかされるんですよね。開いたものにはいろんなものがやってくるので、一度気づいた人はそれを引き受けられる人になれるんですよね。病の分岐点てそこかなって思うんです。

 あと変わったことは、人の力を借りることができるようになったこと。だからコーチという存在も大きかったです。昔だったらコーチもいらなかったです。病院に行くきっかけになったのもコーチからのひと言だったんです。こういう話はなかなかできないけれど、体の異変には気づいていて女性のコーチだから話せたんです。「何が本当かがわかんない間って不安だよね。何が本当かを見に行ってくれば」って。でも子どもは、お父さんが不在の家庭で、さらに私ががんになったって知ったら、すごいダメージ受けるだろうなって。だから言えなくて病院に行くのを1年近く延ばしてたんですね。先生から「お子さんいくつ?生きなきゃね」って言われて。真実を知りに行けて、自分1人で生きてるんじゃないって思いました。コーチの存在ってやっぱり大事です。本当の自立って、人にお願いって言えることじゃないかなって、このとき学びました。

ーー コーチの存在の大きさ、そしてコーチとしての活動以前の人としての生き方の深いところうかがうことができました。最後に後輩たちに何かメッセージをいただけますか。

 下手な答えしか出て来ないけど、コーチがすべてでもない。自分を信じきってみる。私はそういう意味では私を疑ったことがないんです。ハクビでコーチングを知ってこれで行くって決断したことも、コーチとしてできるかできないかとか、やっていけるかしらっていうのはなかった。やれるかしらって思うときって、やりたくない自分もいるから。やりたいと思ったらやるでしょう。やりたくないならやめればいいんです。別にすごいことじゃないです。好きなもの食べたいと思ったら食べるように。食べられるかどうかじゃなくて食べるでしょ。おいしいかまずいかをみんな考えるんですよね。それは食べてから先の話で、手を伸ばせるかどうかだけなんです。そこをグッて手を伸ばすのは自分の自由意志だから。届かないってやめるかどうか。それは自分の中の使命感の違いだと思います。

ーー 自分の中の使命感の違いですか。個人的なこともたくさんお話ししてくださって今日はありがとうございました。多くの方に届くとうれしいです。

インタビュー

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Profile
高安成帆(たかやす・なお)
コーチ
株式会社チア・ドリーム代表
ライフウェルネスコーチ
コーチング講師
アンガーマネジメントファシリテーター
大学卒業後、株式会社ミズノスポーツに入社、10年間にわたって広報を担当する。
1990年からはフリーランスで光文社女性誌「JJ」「STORY」「HERS」において女性支援の記事を執筆。言葉と対話に関わる仕事の経験を通してコーチングに興味を持ち、2002年より本格的にコーチングを学び始めた。現在プロコーチ歴17年、講師歴は14年を迎える。銀座コーチングスクールにて講師を務めるほか、オリジナルのチア・アップコーチング養成プログラムや企業研修等を通して、プロコーチの育成と講師の養成に情熱的に取り組んでいる。
クライアントの本質的な欲求を引き出す丁寧なリスニングと、心の的の真ん中を射る力強いフィードバックが持ち味。クライアントが本来の自分を生きるための伴走者としてコーチングを提供している。2012年からは女性コーチ向けの勉強会"姫コーチの会"を、2016年からはグループセッションの活動"気づきcafe"を主宰、運営に力を注ぐ。
▼気づきのバリスタ☆高安成帆コーチのブログ

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