Coach Interview - 井上 礼子 コーチ（後編）

　ご自分のメンタルヘルスがテーマだったことからスタートしたカウンセリング。さらにコーチングとの出会いがあり、サポートした人の変化が何よりうれしいという、神戸校代表で心理カウンセラーとしても活躍している井上礼子さんにお話をうかがいました。
（聞き手：山上 晴美コーチ）

ーー 神戸校でのクラスや、カウンセリングやコーチングをしていて、どんなところにやりがいや魅力を感じますか？

　自分の体験があったから、人は変われるってことがわかって、それを受講生やクライアントに伝えられることがすごく魅力です。GCSでも心理学講座をさせていただいているんですが、プログラムをコツコツと作って神戸でやっていたものが東京で開催できて、挑戦の機会をいただいて感謝しています。うれしいことはやはり、クライアントとセッションした後に、自分が変われる気がしてきたとか、希望の会社に転職ができましたとか、ありがたいことばをいただいたときです。

ーー コーチに向けた心理学講座を受講した方の反応はいかがでしたか？

　幅広く人のことを見れるようになったとか、知らなかった視点に気づけたとか、今までのセッションで上手くいかない理由がわかったとか感想をいただきました。コーチングセッションは、最終的に行動を起こすことがメインではありますけれど、行動するためには、人には感情も考え方も信念も価値観もある。いろいろな作用をしつつなので、人を多面的に見ることができるとコーチングセッションにも良い影響が出ると思います。

ーー 行動目標が先走らないようにとGCSの教えにもありますね。では、クライアントと一緒に達成したような出来事で思い浮かぶことがありましたら。

　許可をいただいているのでお話しします。地方都市で教育関係の仕事をしているクライアントさんが妊娠したのですが、出産で仕事を辞めないといけないかもしれないって相談があったんですね。その職場には育休の前例がないということでしたが、前例がないなら初めての育休がとれたらいいねってことになって。どうなれば育休がとれるかを一緒に考えて、上司にお願いをするってクライアントが決めて、シミュレーションまでして上司に申し出て、ついに育休をとって無事に出産することができたんです。その後休暇が終わって復帰し、昨年2人目を出産したので、2回目の育休も取得したそうです。その結果を聴いて涙が出そうでした。努力をしている方にはチャンスが巡ってくるのだと思います。その方自身も人のキャリアをサポートするために資格も取得しましたし、後輩女性のモデルになるといいですね。

　それから、コーチングクラスでのことです。仕事のことで悩んでいたカウンセリングのクライアントさんが、いろいろチャレンジしたいからとコーチングも学ぶことになりました。自分が本当にやりたいことを考えていって、途中から結婚したいっていう目標に変わり、ある方とおつきあいが始まって、クラスCのときに婚約して、翌年結婚式を挙げました。その方と出会って1年くらいでしたが、順調にカウンセリングからコーチングにシフトして、コーチングスキルも使えるようになって結婚もして。人って本当に変われるってわかってとてもうれしかったです。

ーー 昔は落ち込みやすいということでしたが、今の井上さんはいかがですか？

　現在は悩める範囲のことしか悩まないです。例えば、双子を妊娠していることがわかったときに、クリニックの待合室で双子のだっこ紐ってあるのかなって検索していました。以前だったらどうしようってなってたと思いますが、今は、なんか乗り越える方法はあるよねって考えられるようになりました。家でも手抜きができるところはして、家はきれいにしておくべきとか、母親ならこれをすべきだとか、そういうことを考えないで、とにかく子どもが笑顔だったり自分の機嫌が良かったりということを優先して目の前の仕事をこなしていこうって意識しています。

ーー 後輩コーチの方へメッセージをいただけるとしたら？

　すぐにクライアントがつかなくても、自分がやりたいことをコツコツと続けていただきたいし、認定とったから終わりではなくて、コーチ自身も一生学びが続きますから、どん欲にいろいろと学んで高めていくとクライアントがついて来ると思います。あきらめずにがんばってほしいです。

ーー 個人としてこれからさらに広げていきたいことなどありますか？

　東京で「コーチのための心理学講座」を開催しています。心理学を学びたい人が意外といることがわかりましたので、次は違う都市にも行ってみたいと思いました。

ーー 講座が広がるといいですね。何度か出てきた「コツコツと」という言葉が井上さんの一生懸命さを表しているように感じました。ありがとうございました。