Coach Interview - 橋本ゆり香 コーチ（後編）日本橋校 代表

　2024年に日本橋校の代表として就任した橋本ゆり香さんに、仲間と共に開けた学びの場を作る楽しさや、最も近い人間関係「夫婦」のコーチングの話などをうかがいます。 （聞き手：山上 晴美コーチ）

−今年から日本橋校の代表になられたので、その辺のこともお話しください。

　立ち上げ当初からアシスタントとして参加させていただき、講師としても育ててもらった日本橋校で代表を務めさせていただくことはとても光栄なことです。この大役を引き受けたのは、私自身がこの日本橋校の文化がとても好きで守っていきたいと思ったのと、普段は客先の課題として扱うリーダーシップやチームビルディングのあれやこれやに自分自身が飛び込み汗をかくことが自らにとってとても大切な気がしたからです。
　2023年の秋以降、一緒にやるって手を上げてくださった講師の方たちと改めて日本橋校のビジョンを共有したり、どんなふうに運営していくかを話し合ったりしてきました。まだ始まったばかりですが、個性を活かした主体的なチーム作りがうまくいっていて、これからがとても楽しみです。

　ちょっと変な話をすると、コーチとして組織に関わる中で資本主義と対峙しているような気分になる時があるんです。だからこそ、コーチが作る組織というものに夢をみたい。コーチならもっと「組織の中にある声」に耳を傾けたい。トップダウンじゃなく拝金主義じゃなく、みんなの声で、想いで創っていく。そういうのもあっていいんじゃないかと思って。みんなでつくる日本橋校にしようと思っています。

−日本橋校の文化が好きということですが、受講したい人に伝えるとしたら日本橋校の特徴はどんなところですか？

　私を含めて講師が4人いるのですが、全員が講師業以外に他の仕事を持っています。プロコーチとしてガンガン活動していたり、管理職の顔を持っていたり、その他の専門があるなど、経験豊かでアクティブな講師陣がひとつの特徴です。

　そしてその講師陣が主催する毎月のイベントがとてもオススメです。オンラインで開催するコーチング練習会や交流会のほか、年に2回は東京でリアルの交流会も開催していて、認定コーチや国際資格に受かった方をお祝いしたり、日本橋校出身者だけでなく連れて来たい方を誘ったりして垣根なく交流しています。
　資格はゴールではなく使えることがゴールだと思うので、日本橋校は卒業後もずっと学び続けているようにその先を見据えた関わりということころを大事にしています。これからやっていきたいのは、コーチング道場みたいな場を作ることです。先輩も、今コーチングを始めたばかりの新人も、畳の上では一緒。学びあう仲間だという気持ちで。
　これから学ばれる方もすでにコーチの道を歩んでいる方も、ぜひ参加していただきたいです。

−ところで橋本さんは、お子さんができるまではどのような仕事をしていたのですか？

　いろいろなことをしてきましたが、人生に特に影響を与えた仕事は旅行会社での営業と、ワインバーの経営ですね。旅行会社ではどんなに偉い社長さんでも悩みを抱えているんだなぁとか、楽しい未来の話をするときはワクワクするんだなぁなんて、人について多く知りました。ワインバーのときには仕事が楽しくて熱中してしまい、家族とうまくいかなくなったことがあって。365日働けるくらい好きな仕事も、一番大事な人が幸せじゃない状態だと自分も幸せでなくなり、仕事もやる気がなくなって、全部の興味がなくなってしまうんだという経験をしました。これが人間関係のコーチングをするようになった私の原点です。

−今、個人としてさらに力を入れてやっていきたいことはありますか？

　これから力を入れてやりたいことは夫婦のコーチングです。私はコーチとして、その人が本当にやりたいことをやり切る人生であってほしいと思っています。でも、その方自身ができないと思っていたり環境がそうさせなかったり、不安感があると動けなかったりすると思います。中でも大きな影響を与えるのが一番近い人間関係です。

　どんなに仕事がチャレンジングでも家族が安定していればできるんじゃないかと。そういう意味でその方の基盤となる夫婦関係を安定させたいというのが一つ。そして自分が子どもを産んでわかったんですが、恋人だったふたりが結婚して、子供を授かって親になっていくのって、二人の関係性にとって大きな変化の連続なんですね。私たち親になるための学習はしても、夫婦関係をふたりで更新していくやり方を教えてもらっていないじゃないですか。嵐がくるよとわかっていたら準備ができるので、苦しくなる前に夫婦でいろいろな話ができる土台作りのお手伝いがもっとできたらいいと思っています。

−ご夫婦へのコーチングにはどんな手応えを感じますか？

　はい、苦しい状態でいらっしゃることも多いので変化がすごく早いです。話ができない状態からちゃんと話ができるようになると、本当は仲良くしたいという思いがわかって変わるのは早いですね。当たり前ですが、会社のチームと違って異動で人が入れ替わることはないので、早く手掛ければ効果が長く続くのもいいですね。夫婦コーチングが当たり前の文化になるくらい、受ける方が増えてくれるといいなと思っています。

−仕事に限らず、今やっていることで、一番豊かさを感じる「自分にはこれなんだ」と思えることはどんなことですか？

　すごくエネルギーをもらいながら、自分のエネルギーも消耗するのがセッションです。人と関わりたいけど逆に疲れることもありますよね。それで、バランスをとるための、私にとって一番豊かでかけがえのない時間は、移住した海の近くの家やカフェでゆっくりとコーヒーを飲んでる時です。山も海もあって、家からも少し海が見えますが、通りに立てば目の前に広がります。

−なんと羨ましい。環境はとても大事ですね。

　大事です。人と向き合う前に自分が整っていないと。

−環境がいいと感性が研ぎ澄まされたり、いいアイデアが湧いて来たりしそうです。 では最後に、コーチングを活用したい人やこれから学ぼうと思っている人たちにお伝えすることがありましたら。

　コーチングって特別なスキルではなくて、生きていく上でみんなが知っていたほうがいいベーシックなものだと思います。仕事にしなくても本当の自分と向き合いたいとか周りの人といい関係を築きたいとか、誰もが願うであろう幸せになるために必要なことのためのすごく有効なスキルです。目的がはっきりしていなくても何かピンとくるものがあったらぜひ学んでみることをお勧めします。

−本当に、ピンとくるものを選ぶって大事です。 人との関係から自分を知ったことや新生日本橋校のこと。コーチングを軸にしてますます広がっていく豊かな世界のことなど、未来に向かう話をたくさん聞くことができました。ありがとうございました。