Coach Interview - 本田 頌 コーチ（後編）汐留校講師

　営業畑から管理職への昇進が、自分自身も人間関係も壊れるきっかけだったという本田さん。そこからの再生と復活、そして未来の平和のための活動のことをうかがいました。
（聞き手：山上 晴美コーチ）

ーー コーチングを体系的に学んでいかがでしたか。

　もう反省ばかりでしたね。いわゆる自己基盤のところです。GCSみたいなわかりやすいピラミッドではなかったけれども、 人格とか人間力とか人間的魅力とか、「それらがあって皆さんが学ぶスキルが初めて活かされるんです」と初日に教わって衝撃を受けました。
　「本で学んだスキルや会社の研修を主体的に受けてきましたか」とか聞かれて、そうではなかったなと。「相手にも人格があって感情があるから、そこに信頼関係が生まれて初めて体系的に学んだスキルが活きるのであって、スキルだけやるのは逆効果です」とはっきり言われて目から鱗でした。

ーー そうでしたか。その後職場でどんなふうに活用していったのですか。

　1度は壊してしまった人間関係なのでこれはもう何年もかかるだろうと覚悟を決めて、とにかく人に押し付けない。そして我慢したり待ったりすることを1年以上やりました。それと同時に、自分で費用を出して産業カウンセラーの勉強もしました。とにかく黙って人の話を聴くということができなかったので傾聴を身につけないと駄目だと思ったのです。コーチングスクールやカウンセラーの仲間に相手になってもらって傾聴の練習を1年やった記憶があります。

　そうしているうちに変化が起きてきて嬉しいことがありました。今でも鮮明に覚えています。それまでは野球部出身の部下以外から「ランチ行きましょう」とか、「飲みに連れてってください」とか言われたことが一回もなかったんです。ホンダに入って10年、コーチングを勉強しだして1年後ぐらいに初めてそれを言われたんです。「たまには奢ってくださいよ」と。涙が出るくらい嬉しかったです（笑）

ーー体育会系以外の部下と初めて飲みに行ってどんな場になったのでしょうか。

　クラスでアイスブレイクが大事だって学びますよね。お互いを知れば知るほど信頼関係が強くなりました。僕は小1の頃から野球をやっていたんですけれども野球の世界では上下関係の上にいる者は何もしなくてもいいんです。下にいる者が従う世界なので。それが32歳にして、相手の人となりを知る大切さということを知ったのです。その時までは先輩や上司というのは強くなきゃいけないとか、失敗談とか恥ずかしい話は絶対にしないとか、努力してる姿を見せたくないとか勘違いしていました。だから自己開示をすることもありませんでした。

　自分は人間関係を築く上でやらなければいけないこういうことをずっとやってこなかった。文系や理系の人達とお酒を飲んだら楽しかったし、「僕もそういう失敗をしたんだよ」ということを話しながら関係を築く喜びを感じましたね。

ーーよいふうに関係を結び直せたのですね。

　コーチングのおかげですね。一度自分を壊してくれたというか。コーチングとの出会いがなければ今も苦しんでいたでしょうね。

ーー よかったですね。ところでコーチ21で勉強してGCSで再度勉強することになったのは何がきっかけだったのですか。

　３年くらい前に講師になりたくなったんです。コーチングをするのは好きなんですが、コーチを育てたくなったんです。それで講師を育てるところを探したらGCSが見つかったので丸の内校の体験講座を受けました。その時はもう認定講師になることを目指していました。

ーー 既にコーチングをしっかり学んでいて、さらにGCSのクラスで学んでいかがでしたか。

　ストラクチャーという言葉はGCSだけですし、基本スキルのところも少し違いますが、やはりこの内容でこの価格というところにとても驚きました。テキストの充実具合ですね。すごくいいところに入ったと思っています。

　講師になるのは初めてで、教えるということは難しいことですが、ますますコーチングの理解が深まっていったので講師になって良かったと思っています。教えるスキルを身につけたということは今後も非常に役に立つことだと思います。

ーー本当ですね。アウトプットが一番の学びになりますね。クラス運営をしてみて感じることは何かありますか。

　受講者よりも僕が楽しんでいるかもしれません。講師は何十回も教えるわけですけれどもその都度発見があるんです。そうだここにこういうことが書いてあるんだとか、人によっても教え方が変わってくるので、教えれば教えるほどテキストに入り込むような感じです。表現はおかしいけれどもあのテキストはスルメイカのように噛めば噛むほど味が出てきます。我々も受講者も読めば読むほど学びが深まっています。

ーーご自身の体験も役立っているのではないでしょうか。

　そうですね。非常に嬉しいのは僕と関わった受講者さんから講師になりたいと言われることです。もう講師冥利につきます。ホームページの汐留校のご挨拶のところに自分の失敗談を書いているので、似たような経験をしている中間管理職とか若いリーダーが、それを見てきましたと言ってくれます。

　同じようにコーチングを勉強して職場でコーチングを活かす。そして同じように「部下から食事に誘われたんです」とか聴くとうれしいですし、コーチというのは本当にいい仕事だと思っています。会社員をやっているよりもずっとやりがいがあります。
　僕の話を聞いてくれてコーチングを勉強したいとかコーチになりたいと言う人が増えていって、どんどん変わっていくのがうれしいしそういう世の中になってほしいと思います。

ーー 今は副業が認められている会社に勤務しているということですが、コーチングと汐留校の運営の他にはどんな活動をしているのですか。

　仕事ではないのですが、動物福祉活動に力を入れています。猫の殺処分ゼロを達成したいのです。

ーー 動物福祉ですか。そこまで積極的に関わるというのは何が本田さんをそうさせているのでしょうか。

　コーチングもそうなんですけれども好きなことを極めたくなるタイプなんです。コーチングは１７年勉強してきましたが、去年の暮れに保護猫の里親になったんです。猫のことを知りたくて本を読んでいたら、日本の動物福祉は世界の中でも非常に遅れているとありました。殺処分をしたりペットを売ったりしていることが世界中から非難されているのです。
　それで「来年は会社員を辞めて保護猫活動とGCSのコーチングでやっていきます」と森代表にも宣言しました。コーチングと動物福祉を掛け合わせて何かできないかなと思っています。
　まだ日本でそれをやってる人はいないし、コーチングの力を使って人と動物が共生できる平和な国づくりをしたいと思っています。動物愛護法が改正されて保健所が殺処分を拒絶できるようになったけれど、実際には飼い主が川や公園に捨てて死なせているという事例はまだまだあって課題は満載です。

　海外にはアニマルポリスという制度がありますが日本にはなくて、その法的な整備のために活動をしている人たちもいます。目標を達成するコーチングの技術でそういう頑張っている人たちをサポートできればいいと思います。でもこの犬猫殺処分ゼロ活動の本当のテーマは凶悪事件をなくすということでもあるのです。なぜかというと人を殺傷してしまうような事件のほとんどが、始めは動物虐待をしていたことがあるからなのです。この国から凶悪事件をなくすためには、動物福祉国家の醸成が絶対に必要なのだと思います。だからこれは副業や兼業ではやれません。

ーー動物福祉とコーチングとGCSは具体的にはどんなふうにかかわり合っていくのですか。

　今考えているのは、保護猫カフェという譲渡型のカフェを開いてそこで里親探しをする。次に、ショッピングモールなどでイベントをやろうと思っています。そこにGCSも協力してもらって協賛金を出してもらったり、ボランティアを募ったりしながら人をサポートしていけばGCS の宣伝にもなるし動物も幸せになって、里親も動物に癒されて幸せになる。誰もが幸せになるのです。来年の夏ぐらいを目指していますが、ヒト・モノ・カネがいるので SNS やクラウドファンディングで資金を集めようかと考えています。

　コーチングセッションを副業でやっていた時期もありますけれども有料クライアントに固執してしまうんですね。でもちょっと俯瞰して見るともっといろいろなことができるんだってわかったんです。「本田がこんな面白いこと考えてるんだ」そういう空気が生まれたらうれしいです。

ーー俯瞰して自分を見ると、いろいろなことができるとわかるっていいお話ですね。 職場での失敗談なども聞かせていただきありがとうございました。来年からの動物保護の新事業、本田さんの思いが実現することを願っています。